経営・戦略

2026.03.06 16:15

「考えすぎない人」が頭角を表す時代│小西利行(POOL)

Getty Images

ハイボールから学ぶビジョンの表現

しかし、ビジョンを明確にしてもみんなの共通目的になるのは簡単ではありません。だけどそこまで行けるようになったら強い。では、どうやってそれを表現するのか。

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昔、アップルがIBMにコテンパンにやられていた時代、アップルはブランド広告で「THINK DIFFERENT」を打ち出しました。つまり、クレイジーなものこそ新しい世の中をつくってきた。だから俺たちはそういう会社になろうと訴えたのです。その時のIBMのキャンペーンは「THINK」でした。だったら俺たちは「THINK DIFFERENT」にしようぜというシンプルな発想です。だけど、シンプルだから世の中に循環した。そして今ではそれが世の中の普遍的な価値になっています。これこそ本当のコピーライティングです。

仕事がうまくいかないな、動きにくいな、なぜ彼らとの接点がつくれないのだろう…。そんな風に思った時は、まず言葉で哲学を定義して、ちゃんと共感してもらったうえで、自分の理想とする世界観を1枚の絵に表現してみるのがいいと思います。それを見た人は「ああ、こういうことなのか」と理解しやすい。これはとても有効な方法です。

この方法の良いところは、絵にしようとすると自分が深く考えざるをえなくなることです。そして必要なもの、不要なものが見えてきてきます。

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例えば、今はハイボールを飲むのは普通のことですが、サントリーがハイボール戦略を仕掛けた2008年当時、ウィスキーは売れなくなっていました。そこでハイボールを復活させようと、戦略チームはまず絵をつくりました。

女性グループがジョッキに入ったハイボールで乾杯している絵で、テーブルには料理が並んでいて楽しいイメージでした。大切なのは、関係者でこの絵を見ながら話せること。レモンを入れたらおしゃれじゃないか、ビールジョッキは女性には重いのでハイボール専用のジョッキが必要だね、つまみは唐揚げが合うんじゃないか…と、いろいろアイデアが出る。結果、新しいハイボール文化が生まれ今に至っています。

このようにビジョンをつくれば考えが整理され形にしやすくなります。

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文=久野照美

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