欧州

2026.02.10 08:00

ロシア軍高官銃撃 ウクライナは関与否定、軍の内部抗争の可能性を示唆

ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)のウラジーミル・アレクセーエフ第1副長官に対する暗殺未遂事件が発生した首都モスクワのアパート付近を歩く警察官。2026年2月6日撮影(Contributor/Getty Images)

ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)のウラジーミル・アレクセーエフ第1副長官に対する暗殺未遂事件が発生した首都モスクワのアパート付近を歩く警察官。2026年2月6日撮影(Contributor/Getty Images)

ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)のウラジーミル・アレクセーエフ第1副長官が6日、首都モスクワのアパートで銃撃された。

ロシア国営メディアの報道によれば、病院に搬送されたアレクセーエフ第1副長官は、昏睡状態から意識を取り戻した。ロシア連邦捜査委員会は7日までに、容疑者1人と共犯者1人を拘束したと発表した。ロシア紙コメルサントによると、アレクセーエフ副長官は自宅アパートの階段で何者かに襲われ、襲撃者に物理的に抵抗したという。連邦捜査委員会の関係筋は、犯人が配達員を装って建物に侵入し、同副長官を複数回銃撃した後、現場から逃走したと説明した。

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ウクライナが和平交渉を妨害するために攻撃を仕組んだと非難。他方で、ロシア側は同外相の発言の根拠となる証拠を一切提示していない。英ロイター通信によると、ウクライナのアンドリー・シビハ外相は、「同副長官に何が起こったのかは分からない。もしかしたらロシアの内部抗争だったのかもしれない」と述べ、ウクライナ政府は事件に関与していないと言明した。

ベルギーに拠点を置く欧州政策分析センター(CEPS)のアンドレイ・ソルダトフ上級研究員はX(旧ツイッター)に、今回の事件はロシア連邦保安庁(FSB)内で最大の部署である軍事防諜部(DVKR)による「信じがたいほどずさんな対応」を反映していると投稿した。ロシアでは軍高官の暗殺事件が相次いでいる。アレクセーエフ副長官は一命を取りとめたものの、2024年12月以降に標的となった4人目の軍高官となる。これ以前に発生した攻撃では、自動車や電動キックボードに仕掛けられた爆弾により3人のロシア軍高官が殺害されている。

米国に拠点を置く監視団体「武力紛争発生地・事件データプロジェクト(ACLED)」によると、2022年のロシアによる軍事侵攻開始以降、ウクライナは未遂事件も含み120件以上の暗殺を実行している。これはロシア情報機関による暗殺件数の4倍以上に相当する。

アレクセーエフ副長官は、2018年に英国で発生した神経剤「ノビチョク」による元ロシア情報機関員セルゲイ・スクリパリの毒殺未遂事件に関与したとされていた。同副長官は2022年、ウクライナ南部マリウポリ包囲戦を巡る交渉で、ロシア側の上級代表として主導的な役割を果たした。

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翻訳・編集=安藤清香

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