ブルガリアの調査報道ジャーナリスト、フリスト・グロゼフは、アレクセーエフ副長官について「ウクライナ侵攻の最も洗練され有能な設計者と見なされていた」と説明する。グロゼフによると、アレクセーエフ副長官は2023年、エブゲニー・プリゴジン最高経営責任者(CEO)率いるロシアの民間軍事会社ワグネル・グループの軍事クーデター未遂事件への対応後、ロシア大統領府(クレムリン)内での信頼をある程度失ったようだ。同副長官は当時、プリゴジンCEOと気軽なやり取りをしている姿が目撃されていたという。
英国の歴史家マーク・ガレオッティは英紙サンデータイムズへの寄稿で、今回の銃撃事件は、交渉によるウクライナ侵攻の終結に反対する超国家主義派閥からロシアのウラジーミル・プーチン大統領への圧力が高まっていることを浮き彫りにしていると指摘した。ガレオッティはさらに、ロシアのソーシャルメディア(SNS)上で、ウクライナの治安機関内の強硬派が独自に行動して両国の和平合意を阻止した可能性があるという根拠のない主張が流布されていると述べたが、この説を裏付ける証拠は示されていない。
ウクライナ・アゾフ旅団のデニス・プロコペンコ司令官はXに、ロシアがウクライナ人捕虜に関するジュネーブ条約を順守することをアレクセーエフ副長官が個人的に保証したにもかかわらず、この約束は後に破られたと投稿した。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によれば、2022年7月、ロシアが管理するウクライナ東部オレニウカのウクライナ人捕虜収容施設で爆発が発生し、50人以上が死亡、100人以上が負傷した。プロコペンコ司令官は「アレクセーエフ副長官の銃撃事件は未遂に終わったが、二度と安らかに眠ることはできないだろう」と記した。
ロシア国内でこれまでに実行されたウクライナによる注目度の高い暗殺作戦は、爆破により標的を殺害するという点でおおむね一致している。このため一部の専門家は、今回の銃撃事件はウクライナの秘密作戦としては異例であり、むしろロシア国内の治安体制の欠陥や国家の上層部内の緊張を示唆している可能性があるとみている。


