「光とエサと蜜」で持続可能性のある街づくりを
食以外では古澤が、「人が集まる場所は虫と同じで“光”(=ライトアップ)と“エサ”(=グルメ)と“蜜”(=エンターテインメント)の3つの要素があると考えています。それを生かせないか」と提案。古澤は、『けやきライトパレード』と称して、南海和歌山市駅からJR和歌山駅まで約3キロにわたる日本一のイルミネーションストリートを展開している。パレードの期間中、周辺の飲食店も一緒に盛り上がり、イルミネーションを見に来た人がホテルに泊まる。すると、今度はその地域でまちづくりをしている人たちが「このタイミングで何かやりたい」と言い出して、イベントが多発的に生まれていくという。
「単発で人を呼ぼうとすると、渋滞や騒音など、住民にとっては負担になることも多い。光をきっかけに街が少しずつ動き出し、その動きが続いていく。継続できる仕組みが文化になると思っています」
その考え方を象徴するのが、2022年8月に有田市矢櫃地区で行ったライトアップだ。半数近くが空き家となっている限界集落で、告知を行わず3日間だけシークレットでインスタレーションアートを実施した。当日は住民以外の来訪者はほとんどいなかったが、その様子を映像に収め、海外のデザインコンテストに出展。受賞をきっかけに、“YABITSU”の名が海外でも紹介され、世界各地からわざわざ矢櫃を見に来る人がいるのだそうだ。
「今はライトアップを行っていませんが、昼の景色も、朝や夕方の風景も本当に美しい。光を入り口にその場所を“知る”ことで、人が分散して訪れるようになる」。こういうやり方も街の持続的な活性化につながるアイデアとなるのではと紹介してくれた。
後編では、こうした「妄想」を地域で実現するために、何が障害になり、どういう問題が起こるのかといった話題に移っていく。そこには雑賀崎、田野地区だけではない地域創生の共通した課題が見えて来た。


