スターシェフでなく、スター「食材」を立てる
雑賀崎、田野地区の街づくりのテーマである「静かな日常が、心を動かすまち」をつくる上で、地域にあるどんな魅力が事業に昇華できそうか。佐藤に聞くと「まだ妄想の段階まではいっていないが(笑)、漁師から直接購入する“はた売り”をどう生かすかを考えるでしょうね」と言い、「あの新鮮さは武器。レストランがひとつの切り口になる」と、食を入り口に考えるという。
岡の切り口も食だ。「最終的には、ここに引っ越してきたいと思ってもらうことが大事なので、“歩きたくなる街”、“食材が豊か”、“その価値を引き出す加工や発酵技術”から、美食の街であるスペインバスク地方のビルバオのような食を軸にすることはどうでしょうか。どちらも、豊かな食と歩きまわる楽しさがありますから。ただ、持続可能性を考えれば、その中心はスターシェフでなく、スター食材がいい」と、35万人都市の和歌山市全体を巻き込んで、日本一、世界一の食材を広く提供していく妄想を披露した。
食に関しては、既に地域住民からも示されたものがあるという。ワークショップのなかで編集長の藤吉が聞いたのが、イタリアのペスカツーリズモ。「ペスカツーリズモというのは、漁師さんと一緒に船に乗り、獲った魚を船上で食べ、港に戻って集落を案内してもらう、単なる体験ではない、地元と触れ合いながらも海洋資源が置かれた現実を学んでもらう旅があるそうです。それを雑賀崎の漁師さんが、これはいいなと思い、イタリアまで視察に行かれたと聞きました。こうした地元にある価値を『コミュニティ資本』というそうです。こうした既存の価値を活用した取り組みは、まさに求めているものだなと、思っています」と、披露する。


