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2015.10.06

ツイッター 新CEOが抱える4つの難題

ツイッターの新CEOに抜擢されたジャック・ドーシー。その手腕が期待されるが、抱える課題は小さくない。<br />(Photo by Bill Pugliano/Getty Images)



10月5日、ツイッターは3ヶ月に渡り暫定CEOを勤めたジャック・ドーシーを、正式なCEOに任命した。

ツイッターはGoogleやFacebookとの厳しい競争にも関わらず、巨大な広告ビジネスに成長した。6月末の四半期では、ツイッターの広告売上は前年比で63%成長し、4億5200万ドル(約544億円)に到達した。

しかし、同社の新規ユーザの増加ペースは減速している。四半期ごとのユーザー成長率は今年6月時点で15%。その前の3月は18%、それ以前の四半期はそれぞれ20%、23%だった。約10億人が登録しているが、月間アクティブ率は3分の1に届いていない。また、ユーザーのうち600万人は広告主には価値をもたらさないフィーチャーフォンのユーザーだ。

ツイッターの株価は年初から27%下落した。ここ一ヶ月間、株価は2013年11月のIPO当時の価格、26ドル辺りをさまよっている。新CEO、ジャック・ドーシーには、多大なプレッシャーがかかっている。下記に彼が取り組むべき4つの事柄を整理してみた。

1. サービスの刷新
ツイッターは現状よりも直感的なサービスに仕上げる必要がある。多くのユーザーはこのサイトは複雑すぎて、自分の興味に合わせるのに時間がかかり過ぎると感じている。

ツイッターは最近、いくつかの新たな取り組みを行っている。より適切な内容が表示されるインスタントタイムラインや、過去のツイートを関連度に応じ表示する“while you were away”機能だが、これらはさほどの効果を上げていない。間もなくリリース予定の人力によるキュレーションサービス、プロジェクトライトニングがどこまで力を発揮するかも未知数だ。

だが、ツイッターを再び成長させる施策は他にも存在する。ドーシーが導入を検討していると伝えられる、従来の140文字制限を解除し、長文の投稿を可能にする計画。Instagramのようにイメージ重視の方向に進むことも利益となるかもしれない。ツィートの並び方を変更し、個人的な繋がりやセレブやインフルエンサー、仕事上の繋がり等に仕分ける方法も有効かもしれない。

また、ツイッターのメッセージ機能、DMには大改造が必要だ。現状ではDMに潜り込んだスパムがサービスを毀損しているし、メッセージを検索することは難しい。
これらの問題を迅速に解決するため、新たな方向性へのビジョンが求められる。

2.マーケティングの強化
現状のツイッターはアーリーアダプター層のニーズには応えたが、より一般レベルに浸透することが求められる。それには新たなマーケティング戦略が必要だ。現状ではCFOのアンソニー・ノトがマーケティングの指揮に当っているが、専任のマーケティング担当者を置くべきだろう。今夏の初旬には、ツイッターは候補者の選定を開始したと伝えられたが、未だに決定は行われていない。

3. 海外売上の向上
今年6月末の四半期では、ツイッターの海外売上は総売上の36%の1億8100万ドル(約218億円)となり、前年比で78%増だった。Facebookの場合は同期間の広告売上の51%が海外であると伝えられている。Instagramもこのところ海外での広告ビジネスに注力している。ツイッターは後に続かねばならない。ツイッターは現在、60ヶ国でサービスを行っている。

直近の取り組みで言えば、GoogleのDoubleClickとの提携には期待が持てる。これは広告主がプロモートツィートをDoubleClick経由で購入することを可能とするものだ。また、ツイッター社のビデオストリーミングアプリのPeriscopeやVineは現状で広告を提供していないが、ここから新たな収益を得ることも可能だろう。

4. 強力なリーダーシップ
ジャック・ドーシーは役員会から100%の信任を得なければならない。ドーシーには完全な裁量権が必要だ。このためには役員会の刷新を行う必要がある。現状の役員会にはドーシー以外に、もう一人の元CEOが存在する。エヴァン・ウィリアムズだ。

ウィリアムズとドーシーは過去に衝突している。ドーシーはかつて2007年から2008年の間、ツイッターのCEOだったが、解任され、その後をウィリアムズが引き継いだという歴史がある。今回のドーシーのCEO就任により、たとえウィリアムズが役員会を去っても驚くには当たらないだろう。一時はドロ沼化したとも伝えられた社内をまとめあげ、会社を新たな方向に導く強力なリーダーシップが、ドーシーには求められている。

文=キャスリーン・チャイコフスキー(Forbes)/ 翻訳編集=上田裕資

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