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2026.02.20 16:00

受賞だけでは終わらない!クリエイターと街・企業をつなぐ、18年目のTOKYO MIDTOWN AWARDが果たす役割

東京ミッドタウンが主催する、デザインとアートの2部門で開催するコンペティション「TOKYO MIDTOWN AWARD」は2025年で18年目を迎えた。作品展示や、企業・街との接続など多面的な独自の支援を続けるアワードの意義とは何か。2021年から5年間アートコンペの審査員を務め、2025年のトロフィーも手がけた建築家の永山祐子、2024年からデザインコンペの審査員を務めるプロダクトデザイナーの倉本仁とともに、東京ミッドタウンマネジメント 増田亜沙美の3人が語り合う。


――TOKYO MIDTOWN AWARD(以下、TMA)は2025年で開催18年目を迎えました。まず、アワード開設の目的や背景をお聞かせください。

増田亜沙美(写真右。以下、増田):東京ミッドタウンの開発が計画されていた2000年代初頭、日本経済はよい状態とは言えませんでした。だからこそ、デザインやアートの力で社会を元気にしようという機運があったのです。

その頃に、森美術館、国立新美術館、サントリー美術館が相次いで六本木に開館して「アートトライアングル」が形成されていき、更に東京ミッドタウンにもデザイン施設21_21 DESIGN SIGHTが開館することが決定。街としても各施設に委ねるだけでなく、主体的に開業後もデザインやアートといった文化的な取り組みを継続していくことが必要だと考えました。そこで、新鋭クリエイターやアーティストを発掘し、支援することを目的に、東京ミッドタウンの開業1年後の2008年、TMAを創設したのです。

永山祐子(写真中央。以下、永山):クリエイターの間でも認知されているアワードになっていて、審査員がクリエイターの「伴走者」である点が非常にユニークです。

私はアート部門の審査員を5年間務めさせていただきましたが、2次審査では審査員が応募者に対して「こうした方がもっと良くなる」といったディレクションを当たり前のようにしていて、まるで大学の講評会のような熱量でした。作品を「選ぶ」というより、アーティストを「育てる」という意識で審査に臨みました。それが他のアワードにはない特徴です。

増田:そうした審査のあり方は18年間継続してきました。第一線のプロからのフィードバックは、孤独に制作してきた応募者の方々にとっては、たとえ落選しても納得感があり、その後が変わる経験になるはずです。

倉本 仁(写真左。以下、倉本):2024年からデザイン部門の審査員を務めさせていただいていますが、以前からこのアワードの「出口のつくり方」には感銘を受けていました。このアワードをきっかけにデザイナーとして社会に巣立ってほしいという思いは強く、審査員というよりも同じクリエイターとしてコミュニケーションを取っているつもりです。

実は、私の友人でもあるデザイナーの鈴木啓太さんが過去に受賞されていて、その時の受賞作品が「富士山グラス」として商品化され、世に出るまでの過程について聞いてからTMAには興味をもっていました。若手には商品化のノウハウはほとんどないですから、才能を見つけるだけでなく、社会へ送り出す出口まで考えている点が素晴らしい。

永山:場所の力も大きいですね。東京ミッドタウンのような不特定多数の目に触れる「晴れの場」で作品を展示してもらえる。自らの作品を世に問い、社会と対峙する。その経験も彼らを一回り成長させますね。

TOKYO MIDTOWN AWARD アートコンペの審査員を務めた建築家の永山祐子
TOKYO MIDTOWN AWARD アートコンペの審査員を務めた建築家の永山祐子。

街や企業につながる起点を生み出す受賞後支援

――受賞者支援は東京ミッドタウン内での展示に留まりません。具体的な広がりについて教えてください。

増田:私たちは受賞者にトロフィーや賞金を贈って終わり、とは考えていません。重要視しているのは、一過性の賞の授与ではなく継続的な支援を通して、社会、一般の方との接点や、クリエイターの活躍の場を創出することでアーティストの成長に伴走することです。2025年は、約10のプロジェクトに延べ47組の受賞・入選者を起用しました。 

プロジェクトの例を挙げると、館内で約1カ月間実施する受賞作品展(『TOKYO MIDTOWN AWARD EXHIBITION』)では、来場した方の投票で決まる「東京ミッドタウン・オーディエンス賞」を設けています。これは、作り手が自分の作品に対する社会の生の反応をダイレクトに感じる場といえますね。

アートコンペ受賞者に対しては東京ミッドタウン内の展示だけではなく、様々な場所での展示機会の提供やイベントにおけるワークショップでの起用なども行っています。そのひとつに永山さんからご提案いただいた「ソノ アイダ#TOKYO MIDTOWN AWARD」があります。

永山:「ソノ アイダ」は空き物件や解体予定建物など、街の隙間を空間メディアとして活用するアーティスト藤元明がはじめたアートプロジェクトです。2024年には日本橋室町のビルを舞台に、TMA受賞者が滞在制作や展示を行う場が設けられました。こうした「街の隙間」を活用した発信を通じて、アートを媒介にしたコミュニティが創造されていくことを狙っています。

街づくりは機能性が基本ではありますが、アートはワクワク感や生きる喜びを与えてくれるものです。街の中に作品があることで、便利や快適に加えて「豊かさ」が生まれます。そんなアートの力を街に広げていくことは、まさに日本を元気にしていくムーブメントになると思います。*1

増田:ソノ アイダとの連携はTMAの外部との連携を象徴する取り組みですが、三井不動産グループ内での連携も活発です。霞が関ビルや日本橋の工事現場の「仮囲い」にTMA受賞者の作品を掲出したり、ビル内に期間限定のアート設置をおこない、さらに作家本人の解説ツアーやオフィスワーカー向けのワークショップを開催したりするなど、取り組みを通じて、多くの人にアートを身近に感じてもらうと同時に、作家自身も社会と対峙する経験を積んでいます。

絵画からはなれて[磊] 石山 和広(2010年アートコンペ受賞者) 「The Best of the Best TMA Art Awards」グランプリ(提供:東京ミッドタウン)
パブリックアート恒久設置コンペ「The Best of the Best TMA Art Awards」グランプリ作品/絵画からはなれて[磊] 石山 和広(2010年アートコンペ受賞者) (提供:東京ミッドタウン)

倉本:アーティストの継続支援が「発表の場の提供や交流」だとすればデザイナーの支援活動の中心は「育成支援」に比重がありますね。商品化への伴走支援は、パッケージのデザインや適切な価格設定など、実践的な知見を身につけることにつながります。

さらには、社会への広がりという視点では、TMAへの応募自体が、大きな影響を与えていると思います。私は大学でも教えていますが、TMAに挑戦する学生の熱意は周囲に伝播していって、ものづくりにより打ち込んでいく雰囲気が生まれるのを何度も見てきました。デザイン界の活性化という意味でも、日本のクリエイティブの「土を耕す」非常に意義のある活動だと感じます。

TOKYO MIDTOWN AWARD デザインコンペの審査員を務めた倉本仁
TOKYO MIDTOWN AWARD デザインコンペの審査員を務める倉本仁

パートナー賞新設で加速するコラボレーション

――TMA2025からは新たに「パートナー」制度を新設し、アートコンペのパートナーとして三井デザインテックが参画しました。企業との連携強化には、どのような狙いがあるのでしょうか。

増田:パートナー賞は、副賞を授与するものです。TMA2025の三井デザインテック・パートナー賞は、オフィスでの展示機会を提供するものでした。アーティストの発表の場を増やすだけでなく、企業のワーカーの心に豊かさをもたらすウェルビーイングな空間創出にも貢献するものと考えています。デザインコンペでも今後、企業とのコラボレーションを予定しており、より実践的な協働の形を模索しています。

倉本:デザイナーにとって企業とのコラボレーションは、コンペとは違うスキルが求められます。コンペは自分のアイデアや発想をデザインにするステージですが、企業とのコラボレーションはコミュニケーションを通じて答えを導き出すプロセスですからね。

永山:クリエイターが社会にでる大きなチャンスですよね。TMAの最大の魅力は一過性で終わらない継続的な成長支援サポートにありますが、企業とのパートナーシップはそのひとつの柱として発展していきそうです。

増田:ビジネスの現場ではデザイン思考やアート思考への注目も高い。論理だけでは突破できない課題に対し、クリエイターの異質な視点が加わることで、企業文化そのものにイノベーションが起こせるかもしれません。アートが想起する社会への問いを引き起こす思考に対し、デザイン思考はグラフィックやプロダクトに留まらず、社会や企業の課題を解決する仕組みや思考であり、それらは両方ともに重要な要素です。

このようなクリエイターの思考やクリエイターのアイデアそのものを企業にインストールすることで、実際的なアウトプットだけでなく企業文化にもイノベーションが起きる可能性があります。また、クリエイターにとっては社会との接点やさらなるアイデアに向けた発想力が生まれます。企業・クリエイター双方にとってウィンウィンの循環を生み出していけると考えています。

東京ミッドタウンマネジメント タウンマネジメント部 プロモーティンググループ長を務める増田亜沙美。
東京ミッドタウンマネジメント タウンマネジメント部 プロモーティンググループ長を務める増田亜沙美。

デザインとアートを、街や企業に架橋する

――最後に、今後のTMAに期待することをお聞かせください。

永山:まずは18年間継続してきたアワードを、今後も続けていただきたいということ。残念ながら日本は、アーティストが才能を活かして活躍できる土壌がまだ十分ではありません。だからこそTMAが発表や出会いの場を創出し続けることで、人々がアートの価値を知るきっかけを増やしてほしい。その活動が社会との架け橋となり、アーティストが羽ばたけるフィールドが広がっていくことに期待しています。最終的にはアートの力で日本を元気にすることにつながると信じています。

倉本:ヨーロッパではアートギャラリーが街中にあり、デザインの議論も活発に行われていますが、日本ではデザインもアートも理解できる人たちだけのものといった「デザイン村」「アート村」という側面があると思います。アートやデザインと社会との接続点が日本には少ない。そこをぜひ、18年間積み上げてきた実績と東京ミッドタウンという開かれた場所を持つこのアワードに、この現状をブレイクスルーしてほしいですね。

増田:お二人の言葉こそが、私たちが果たすべきミッションそのものですね。今後も新しい才能と出会い、そして伴走しながら活動を支えることで、様々な新しい日本の価値や感性を日本から世界へ発信していきたいと思います。

TOKYO MIDTOWN AWARD 2026の開催情報は、3月上旬公開予定。詳細は下記サイトから。
https://www.tokyo-midtown.com/jp/award/


*1 ソノ アイダの詳細はリンクを参照。
https://www.tokyo-midtown.com/jp/news/7377/

 

東京ミッドタウン
http://tokyo-midtown.com


くらもと・じん◎1976年兵庫県生まれ。1999年金沢美術工芸大学工業デザイン専攻卒業。国内家電メーカーにて工業デザイナーとして勤務の後、2008年に東京目黒に『JIN KURAMOTO STUDIO』を開設。プロジェクトのコンセプトやストーリーを明快な造形表現で伝えるアプローチで、家具、家電製品、アイウェアから自動車まで多彩なジャンルのデザイン開発に携わる。素材や材料を直に触りながら機能や構造の試行錯誤を繰り返す実践的な開発プロセスを重視し、プロトタイピングが行われている自身の“スタジオ”は常にインスピレーションと発見に溢れている。iF Design Award、グッドデザイン賞、Red Dot Design Awardなど受賞多数。2020年Compasso d’Oro(伊)審査委員、iF Design Student Award(独)審査委員、2023-2025年グッドデザイン賞審査副委員長。

ながやま・ゆうこ◎1975年東京生まれ。青木淳建築計画事務所を経て2002年永山祐子建築設計設立。主な仕事に「豊島横尾館」「ドバイ国際博覧会日本館」「東急歌舞伎町タワー」、大阪・関西万博「ウーマンズ パビリオン」と「パナソニックグループパビリオン『ノモの国』」など。JIA新人賞(2014)、山梨県建築文化賞、東京建築賞優秀賞(2018)、照明デザイン賞最優秀賞(2021)、WAF Highly Commended(2022)、IFデザイン賞(2023)など。現在「Torch Tower」などの計画が進行中。著書に『建築から物語を紡ぐ』(グラフィック社)、『建築というきっかけ』(集英社新書)がある。

ますだ・あさみ◎東京ミッドタウンマネジメント タウンマネジメント部 プロモーティンググループ長 2007年の東京ミッドタウン(六本木)開業よりイベントプロモーションやTMA運営・受賞者支援などに携わり、2017年より「東京ミッドタウン日比谷」の立ち上げ、2022年より「東京ミッドタウン八重洲」の立ち上げ担当として開業プロモーションや広報全般に携わる。2025年より現職。

Promoted by 東京ミッドタウン | text by Tetsuji Hirokawa |photographs by Yutaro Yamaguchi