経営・戦略

2026.02.11 12:00

愛されるブランドを構築するためのキーワードは「信頼とイノベーション」

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米国では毎年、平均約510万もの新規事業が立ち上がっている。ただしもちろん、こうした新規事業のかなりの割合が5年以内に廃業に追い込まれる、という現実もよく知られている。

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多くの課題を抱え、事業拡大や現状維持さえ難しい企業がある一方で、その対極には、人々が心から愛するブランドを築き上げる企業群も存在する。

世界で最も成功している企業の多くは、「単なる一企業」以上の存在となることで、その地位を獲得し、維持し続けている。愛されるブランドへと変貌することで、他の多くの企業が夢見るようなレベルのロイヤルティを育んでいるのだ。

だが、優れた製品を作り、賢いマーケティングキャンペーンをすることはもはや、ブランドへのロイヤルティを長続きさせる秘訣にはならない。それよりも、信頼とイノベーションという2つの強力な力が交わることが重要になる。

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イノベーションを生かすのは信頼だ。信頼がなければ、最も画期的な技術でさえ、恩恵ではなく脅威と感じられる。この2つの要素が調和したとき、単なる取引を関係性へと変える好循環が生まれる。

業界のリーダーは、イノベーションを起こしてきた

業界のリーダー的企業を、停滞的で、変化に抵抗する存在と見なすのは簡単だが、世界の多くの巨大ブランドが現在の地位を築いた背景には、かつての彼らが、現状に立ち向かうことを通して、当該分野で先駆者になったという事実がある。

ファストフード業界ではマクドナルドが、その豊富な歴史的教訓を通じて、イノベーションを起こすことの重要性を教えてくれる。つまり、現状に満足せず、利益を追求するだけでなく、顧客のニーズや要望にも応える形でイノベーションを起こす、ということだ。ドライブスルーや、タッチパネルによるセルフ注文端末、朝食メニューなど、いまでは業界で当たり前と思われているコンセプトはどれも、効率性を改善しながら顧客へのサービスを拡大するために、同社が先駆けて導入したものだ。

AI(人工知能)の急激な普及ほど、イノベーションと信頼のあいだの緊張を高めるものはない。我々は現在、従来の自動化(オートメーション)から、「財務から健康に至るまで我々の生活の最も個人的な側面に関わる生成型システム」への大規模な移行を目の当たりにしている。

例えば、Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)のモバイル・バンキングアプリに搭載されたAIアシスタント「Erica(エリカ)」を見てみよう。このアシスタントは、顧客が大量の金融関連タスクをシームレスに管理できる、低リスクな手段を提供する。

これは、イノベーションを活用して利便性を向上させる典型的な事例だ。しかしこの件は、重大な信頼のギャップも浮き彫りにしている。消費者の多くは、AIエージェントに対して自身の銀行データへの完全なアクセス権を与えることに依然として不安を抱いているのだ。銀行はこのギャップを埋めるため、倫理的な導入の基盤として、透明性を最優先にする必要がある。

どの分野であれ、時代を超えて生き残る最良のポジションに立つのは、顧客に利益をもたらす方法で、常に改善の道を模索し続けるブランドなのだ。

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翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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