経営・戦略

2026.02.13 14:15

社会を巡る「ライフスタンス」 人間に向き合う企業の未来

中川政七商店のコーポレートサイトでは、Vision、Why、How、Future、Spirit、History、Sustainabilityについて事細かに説明されている。

ビジョン・方法・進捗・未来。その開示が信頼をつくる

手前味噌ながら、中川政七商店も先日、コーポレートサイトを全面リニューアルした。長年掲げてきた「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを、単なるスローガンに終わらせないため、工芸業界の現状から、なぜそれを自分たちが担うのか、各事業がどのように工芸を元気にするのか、お客様の生活との関係性、ヒストリーやスピリット、Bコープのスコアに至るまでを徹底的に解説している。興味がなければ離脱するほどのボリュームかもしれないが、本気で知りたい1〜2割の人には深く届くだろう。

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消費者が企業に求めるものは、「安心」から「憧れ」へ、そして「共感」へと移り変わってきた。そして今、私たちは「信頼」の時代に足を踏み入れている。これまでは、企業の長年の行動を見続けなければ信頼は醸成されなかった。しかし、ビジョン、理由、方法、進捗などを高い透明性で開示することにより、「この会社は本気だ」という信頼への期待を生み出しやすくなった。この潮流は、今後のスタンダードになると強く感じている。

企業やブランドのライフスタンスを凝縮した形で知れる貴重な機会「Lifestance  EXPO 2026」が、2026年1月30日(金)〜2月1日(日)に コクヨ東京品川オフィス「THE CAMPUS」で開催された。
企業やブランドのライフスタンスを凝縮した形で知れる貴重な機会「Lifestance EXPO 2026」が、2026年1月30日(金)〜2月1日(日)に コクヨ東京品川オフィス「THE CAMPUS」で開催された。

テクノロジーが進化しても、人間の本質は変わらない

AIをはじめとしたテクノロジーは、ビジネスの前提を次々と塗り替えている。しかし私は、人間そのものは急には進化しないと考えている。身体性や知覚、喜びや悲しみといった感情は、数十年単位ではほとんど変わらない。「推し活」のような新しい現象も、使うツールは変われど、その根源には「誰かを応援したい」「信じたい」という普遍的な欲求がある。

ラブベリやアクスタのように、変化の激しいオポチュニティを捉えて波に乗るビジネスも否定はしない。しかし、私たちのようにクオリティを追求する企業にとって重要なのは、テクノロジーの潮流を把握しつつも、人間の本質を取り違えないことだ。人の気分の移り変わりの裏に潜む根源的な欲求や不安を理解し、自分たちのビジョンへ立ち返る。この往復運動こそが鍵となる。

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では、本質的に変わらぬ人間に対して、企業としてどう向き合うか。

「なぜやるのか(Why)」にその会社の哲学が宿り、「どうやるのか(How)」にビジネスとしての妙味が現れ、「進んでいるのか(Progress)」に誠実さが表れ、信頼へと繋がっていく。この三位一体が揃ったとき、ビジョンは単なる言葉を超え、その企業のライフスタンスそのものとして、社会や人々の心に届くのだと思う。

ライフスタンスが社会に巡っていくことで、企業と生活者が信頼で繋がるライフスタンスエコノミーが拡がっていく未来に期待を寄せつつ、この連載の筆を置きたいと思う。約1年半、お付き合いいただきありがとうございました。またどこかでお会いしましょう。

拡がる“ライフスタンス”エコノミー
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