重ねて言えば、オリンピック・パラリンピックのメダルの真の価値は物質的価値と比べられるようなものではない。また、過去に獲得されたメダルの価値は、その由来や競技面での偉業、歴史的意義により、値段のつけられないものになっている。ちなみに、これまでに競売で最も高値で落札されたオリンピックメダルは、1936年のベルリン大会で米国の男子陸上競技選手ジェシー・オーエンスが獲得した金メダルで、2013年に147万ドル(現在の為替レートで約2億3200万円)近くで落札された。オーエンスは同大会で4つの金メダルを獲得し、アーリア人の優越性を示そうとしたアドルフ・ヒトラーの企てを打ち砕いたことで知られる。
デザインに込められた意味
ミラノ・コルティナ大会のメダルは、2つの半円を組み合わせた独特なデザインを採用している。大会のブランド・アイデンティティー・ビジュアル担当ディレクターを務めるラファエラ・パニエによると、デザインはアスリートの歩みの集大成と、その歩みを支えてきた人々のつながりを象徴している。
パニエは、メダルのデザインは「世界最高のアスリートたちの決意と情熱だけでなく、オリンピックとパラリンピックの精神」を具現化したものと説明する。
大会組織委員会によると、メダルはイタリア国立造幣局(IPZS)によって製造された。材料にはIPZSの製造工程で回収された金属を再利用し、100%再生可能エネルギーで稼働する誘導炉で鋳造された。パッケージも、FSC(森林管理協議会)認証素材を採用し、プラスチックの使用を最小限に抑えた環境に優しい仕様になっている。
IPZSのパオロ・ペローネ理事長は今大会のメダルについて「ひとつひとつが職人技と技術革新の結晶である唯一無二の作品です」と紹介し、「アスリートをストーリーの中心に据え、スポーツの普遍性、闘い、勝利の感情を表現しています」と説明している。
パニエは「わたしたちはこのメダルで、違いのなかにある強さをたたえています。2つのユニークな半円がオリンピック・パラリンピックのシンボルを通じて結びつき、大胆で一体となったメッセージを生み出します」と述べている。「このコンセプトはメダルの表面にも反映されていて、そこでは2つの質感が交わり、ストーリーが始まります。そのストーリーはアスリートたちだけでなく、彼らを支えたコーチ、チームメート、家族、ファンたちによってつむぎ出されるものです」
メダルの公式ボックスとトレーは、持続可能で循環型のソリューションに注力するイタリアの化学企業ヴェルサリス(エニ傘下)が手がけた。


