喜びは文化的に、到達すべき恒久的な高揚状態として描かれ、そして何らかの方法でそれを無限に維持し続けるべきものとされている。SNSを少しスクロールするだけでも、現代社会が喜びを「演じるもの」として位置づけてきたことがわかる。
喜びに関するこの理解の問題点は、誤ったメッセージを送ってしまう点にある。「気分が良くないなら、努力が足りないのだ」というものだ。喜びは本来、安全でリソースが足りていて、つながりを感じられるときに起きる自律神経の自然な反応だ。他の生物学的な能力と同様に喜びも強化できるが、圧力や否認、不屈のポジティブ精神によって強まるわけではない。
喜びは筋肉組織のようなものと考えるといい。筋肉がたくましくなることを思い描くだけでは筋肉は育たない。成長を促す負荷や回復のための休息、体を支える栄養といった適切な状況を整えることで育つ。喜びも同様だ。態度として採用するものではなく、条件が整ったときに心身が生み出す反応だ。
この記事では、自分に「感謝の心を持とう」と言い聞かせたり、すべてうまくいっているふりをしたりせずに喜びを感じる力を鍛える、根拠に基づく3つの方法を紹介する。
1. 神経系に「喜びを許容する力」を学習させる
奇妙に聞こえるかもしれないが、喜びを妨げる大きな要因は、私たちがよく考える悲しみではなく、ポジティブな感情に対する不寛容さだ。
苦痛の耐性に個人差があるように、喜びや安楽、高揚を神経系がどれだけ「安全に抱えられるか」にも差がある。多くの人、特に情緒的ネグレクトや不安定、慢性的な批判といった環境で育った人にとって「気分が良いこと」は安全に感じられない。むしろ脆く無防備で、多くの場合痛ましいほど一時的なものに感じられる。
若年成人を対象にした大規模研究では、かなりの逆境的小児期体験(ACE)を抱える人は大人になってから幸福感が極めて低いことが明らかになった。だが重要なのは、単により強い苦痛を感じるからではなく、感情の仕組みが「感情を適応的に処理しにくい形」になっている点だ。
つまり、認知的再評価(状況をポジティブな意味づけや感情の安堵につなげる方法でとらえ直す力)を使わず、感情の抑圧に頼りやすくなる。これは一貫してウェルビーイングの低下と結びつく。幼少期の逆境は、神経系がポジティブな感情を受け入れて維持する能力を制限してしまう側面がある。
そのため喜びが芽生え始めると、感情の仕組みがそれを中断し、次のような思考が生まれやすい。
・「これは続かない」
・「悪いことが起きそうだ」
・「期待しすぎてはいけない」
・「消える前に楽しもう」
こうした悲観する癖は実は過敏になっている神経系によって形成された防衛反射だ。良いことがあった後には失望や孤立、不安定が来るということをずいぶん昔に学んでいる。その結果、喜びの中にあっても身構える傾向ができてしまう。



