心がざわついていると喜びが消えやすいのはそうした理由からだ。常に注意散漫、あるいは過去の後悔や未来の心配、自己監視に引きずられるとポジティブな瞬間は認識する前に過ぎ去ってしまう。一方、マインドフルネスはそれを遮る認知的干渉を減らす。
これを実践する最も効果的な方法は、従来の瞑想ではなく、はるかに実用的なモノタスクだ。
毎日小さな活動を1つ選び、マルチタスクをせずに行う。たとえば端末をいじることなく食事をする、音楽など何も聞かずに歩く、予定を立てながらではなくシャワーを浴びるなど。心の中のナレーションが一瞬止まると、神経系がようやく「今まさに良いことが起きている」ことを感じられるようになることに気づく。
3. 予測可能な喜びのルーティンをつくる
脳がより強く反応するのは、報酬を受け取った瞬間よりも報酬を予想した瞬間だ。動機づけとドーパミンは良いことを楽しみにする時に最も強く反応する。脳は喜びを前向きに受け入れることで勢いを生み出す。
未来の行動を想像するときに自分がどう感じるかまで具体的に思い描く人は、同じ活動を中立・事実的に想像する人よりも動機づけがずっと強い。予期された喜び、あるいは感情予測は、関与とウェルビーイングの最も強力な推進力だ。心は「次に来るもの」に向けて自分を整理し始める。
だが即時にアクセスして満足を得る世界では、近い将来期待できる兆しや展開が全く見えない。脳の報酬回路は刺激で満たされるが、前向きの興奮に極端に欠く。安楽は向かっていくものではなく消費するものになり、結果として喜びはちょっとした注意散漫になる。
これを逆転させる方法は、より大きな刺激を求めることではなく、小さく予測可能な未来の喜びの源を意図的に作ることだ。神経系が楽しみにできる、予測可能な喜びを用意する。たとえば毎週のコーヒーの儀式、月1回の1人の時間を楽しむ活動、特定の曜日に観るお気に入りの番組、毎週末行う創作プロジェクトなど。
これらの儀式が効く理由は、予測可能なポジティブな期待を作るからだ。特別ではないが、予測とシミュレーションを伴う楽しみにできるものを脳に与える。
やがて感情の基準線が変わり、未来が脅威というより一連の招待状のように感じられ始めるかもしれない。この意味で喜びは今感じるものだけではなく、心が次にどこを向くかにも関係する。


