マーケット

2026.02.09 11:30

47兆円が蒸発、「SaaSの大崩壊」が始まった

Shutterstock.com

影響はプライベートエクイティとプライベートクレジットにおいて特に大きい

この10年、膨大な資本が、共通の前提に基づいてソフトウェア企業へ流入した。予測可能な収益、低い解約率(チャーン)、高い回収価値。これらの前提が、ソフトウェアのキャッシュフローを経済の中でも最も安全な部類とみなし、レバレッジやコベナンツ(財務制限条項)の構造を正当化してきた。

advertisement

AIはこれらのポートフォリオを一夜にして壊すわけではない。タイムラグを生む。支出圧縮はチャーンの前に現れる。利益率の劣化はコベナンツ違反の前に表れる。経済の現実は、報告される指標から乖離する。

債権投資家にとって、これは最も厄介なシナリオだ。決算の数字に異変が表れる前に、実質的なリスクはすでに膨らんでいる。データで問題が裏づけられた頃には、融資条件を有利に設定できる立場はすでに失われているのだ。ソフトウェア関連の投資比率が高い資産運用会社の株価が、ソフトウェア企業と一緒に下落したのは偶然ではない。

ここで、より根本的な問いが突きつけられる。AIが当たり前になった世界で、「経常収益」の「経常」とは、本当は何を保証しているのか。

advertisement

これまで経常収益が安定を意味していたのは、ソフトウェアの乗り換えに人手がかかり、導入に時間がかかり、組織に大きな負担を強いたからだ。顧客を縛りつけていたのは、製品の優秀さではなく、乗り換えの面倒さだった。AIはその摩擦を劇的に減らす。知能は特定のソフトに閉じ込められなくなる。データはどこからでも読み取れるようになる。業務プロセスは別の環境で再現できるようになる。

ソフトウェアはますます、データを入れておくだけの「容器」に見えてくる。本当に価値があるのは、その中で動く知能の方なのだ。

この反転は、投資家が長年頼ってきた多くの経験則を壊す。

このリスクは誇張だと主張する向きもある。企業が、不安定な自作ツールでミッションクリティカルなシステムをゼロから作り直す可能性は低い。自分で作るよりも、引き続きソフトウェアを「借りる」だろう。ある程度、それは真実だ。

「借りる」モデルが変わっている

レガシーSaaSの既存大手に固執するのではなく、先進的な組織は、特定のLLM(大規模言語モデル)に依存しない目的特化型のAIプラットフォームへ移行しつつある。これらのプラットフォームは、時代遅れのアーキテクチャの重荷なしに、持ち運べる知能とワークフロー実行を提供する。単なる機能の追加ではない。ソフトウェア層が実際に何をするかを再定義するものである。

次ページ > 顧客離れが顕在化する頃には、代替はすでに完了している

翻訳=酒匂寛

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事