イーロン・マスクはテスラの直近の決算説明会で、同社を電気自動車メーカーからAI(人工知能)とヒューマノイド(人型)ロボットの強豪へ変貌させる計画を得意げに語った。彼は、ステアリングホイールもペダルもないまま販売すると主張する二ドアEV「サイバーキャブ」(Cybercab)を(規制当局が承認すれば)近く投入すると述べ、同社の成功のきっかけとなった車でもあるModel XクロスオーバーとModel Sセダンの「終わり」にも言及した。
テスラの電動トラック「セミ」(Semi)が展開予定だが、市場環境や政策は悪化
彼が言及しなかったこと、そして誰もわざわざ質問しなかったことは、文字どおりテスラ史上最大のモデルの電動トラック「セミ」(Semi)が、2026年の前半に登場予定だという点である(同社は2023年にテストプログラムの一環として少なくとも200台を製造したが、詳細はほとんど明らかにされていない)。このタイミングを考えれば、それも不思議ではない。米国の消費者は今年も新車EVを100万台超購入する可能性が高いが、その大型トラックのセグメントは2025年の128万台から2桁%減となる可能性がある。いずれにせよ、クラス8(米国で最も大型のトラック区分)の電動セミトラックの需要は、その規模のごく一部にとどまる。
トランプ政権による支援縮小で、販売台数は低水準に留まる見込み
「不確定要素もありますが、2026年はかなり少ない数字、1400台弱と見ています」と、トラック業界コンサルタントのACTリサーチ(ACT Research)でトラック部門担当バイスプレジデントを務めるアン・ランドルはForbesに語った。「トランプ政権が、あらゆる種類の支援を事実上骨抜きにした今となっては、売り込むのは難しいです」。
同社の第4四半期決算報告書によれば、このトラックは2ドアEVのサイバーキャブとともに、年の前半に生産に入るという。報告書にはまた、2026年に全米で建設する計画の「メガチャージャー」ステーションの地図も掲載されている。これは、990キロワット時(kWh)の電力を蓄えるセミの巨大バッテリーパックを再充電するために特別に設計されたものだ。
顧客企業は導入に意欲的だが、価格は当初の約束を超過
テスラはトラックの販売価格を明らかにしていないが、2017年にマスクが約束した18万ドル(約2800万円。1ドル=157円換算)のレンジを上回る価格だと、DHLの輸送サービス部門プレジデントであるジム・モンクマイヤーは述べた。DHLは米国の車両運用でセミをテストしており、追加導入に意欲的だ。「テスラの価格がいくらかは言えません」と彼は言う。「ただ、テスラを受け取れるのを非常に楽しみにしているとは言えます」。
DHLが同様に使用しているボルボ(Volvo)やナビスター(Navistar)などの競合電動トラックは、1台あたり約40万ドル(約6300万円)で、モンクマイヤーは「その価格は下がるはずです。テスラについては、劇的に下がると思います」と述べた。
DHLにとっても、カリフォルニアで少なくとも86台のテスラセミを運用しているペプシコ(PepsiCo)のような他の早期顧客にとっても(限定的な初期生産分の一部として)、購入は炭素排出や排気ガス排出を減らすという企業全体の取り組みの一部である。DHLの場合、2030年までに車両の30%を電動化することを目指しており、「その方針は揺らいでいません」とモンクマイヤーは言う。「期待しているのは、これらのテスラを可能な限り多く手に入れたいということです」。
DHLは、長距離ではなく、主に短距離や中距離輸送に投入する意向
モンクマイヤーによれば、DHLはこのトラックを主として短距離および中距離の運行に投入する意向で、最大500マイルに及ぶ長距離輸送ルートには使わないという。ペプシコのカリフォルニア車両が、フリトレー部門のポテトチップを運んでいるのか、はるかに重くバッテリーを早く消耗させるソーダを運んでいるのかは不明だ。
「おそらく、ポテトチップを運ぶほうが賢いです」と、米国トラック協会(American Trucking Associations)の元副会長で環境・エネルギー顧問のグレン・ケジーは、(当初は2023年の生産開始が計画されていた)トラックについて、2022年にForbesに語っている。当時、マスクは投資家やアナリストに対し、テスラの目標は2024年までに年5万台を供給することだと話していたが、その計画はその後、2026年へと先送りされた。



