北米

2026.02.11 14:00

年初から上昇傾向、投資を検討すべき「レアアース銘柄」5選 注目点とリスクを探る

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サプライチェーン構築を担う、2026年に注目すべき5銘柄

本稿で取り上げる5銘柄は、確立された生産企業から戦略的な開発企業まで、レアアースのバリューチェーン全体を横断するものとなっている。リスクとリターンの特性はそれぞれ異なるが、共通点も明確だ。いずれも、米国が進めるサプライチェーン構築の動きに直接関わり、政府の優先政策と足並みをそろえ、地政学と産業政策が競争環境を書き換えつつある分野で、重要な位置を占めている。

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1. MPマテリアルズ(MP)

MPマテリアルズ(MP)は、西半球で最も事業化が進んだレアアース・プラットフォームを持つ企業だ。その中核は、カリフォルニア州にあるマウンテンパス鉱山と加工施設で、中国以外では唯一の大規模な一貫型レアアース事業を展開している。同社のネオジム・プラセオジム酸化物の生産量は、2025年第3四半期に過去最高となる721トンに達した。年間のレアアース酸化物生産能力は6万トンを目標としている。

MPは、採掘のみにとどまらず、テキサス州で磁石製造能力の構築を進めており、鉱山から磁石までを一貫して手がける体制を整えつつある。2025年半ばには、米国防総省から4億ドル(約612億円)の優先株投資を受けており、同社事業が米国の防衛およびテクノロジー分野のサプライチェーンにとって戦略的に重要であることが改めて示された。

なぜMPマテリアルズ(MP)が検討すべき選択肢なのか

MPは、レアアース投資の核心を体現する存在だ。大規模な操業能力や垂直統合への明確な志向、そして比類ない政府支援を兼ね備えている。すでに確立された生産能力と実績ある操業履歴は、依然として開発段階にある同業他社との明確な差別化要因となっている。重希土類の分離や磁石生産への展開は、サプライチェーンの中でも最も付加価値の高い領域を押さえる動きといえる。

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また、国防総省とのパートナーシップは、資金面での支援にとどまらず、米国が構築を進める国内レアアース戦略において、同社が中核的な役割を担う存在であることを裏付けている。

MP株は利益水準に対して高めのバリュエーションで取引されており、大きな成長期待を織り込んでいる。ただし、生産規模や事業拡張の軌道、政策面での追い風を考慮すれば、MPはこの分野における「ブルーチップ」に位置づけられる。直近では、グリーンランドをめぐる思惑や、トランプ政権の鉱物政策に関する議論を背景に株価が変動したが、地政学的な材料と事業の着実な進展の双方を織り込める投資家にとっては、参入の好機となり得る。

2. USAレアアース(USAR)

USAレアアース(USAR)は、テキサス州のラウンドトップ鉱床と、オクラホマ州スティルウォーターに建設中の磁石製造施設を軸に、鉱山から磁石までを一貫して手がける垂直統合型事業の構築を進めている。同社は2025年後半、ラウンドトップの商業化スケジュールを2年前倒しし、生産開始時期を2028年後半に設定した。

ラウンドトップ鉱床には、ジスプロシウムやテルビウムといった重希土類が豊富に含まれており、これらはいずれも防衛やクリーンエネルギー分野で不可欠な元素だ。2025年後半にレアアース分離技術を持つ英レス・コモン・メタルズを買収したことで、USARは独自の分離技術を獲得し、多様な原料に対応できる処理能力を強化した。特定の鉱石への依存度を下げられる点も強みとなる。スティルウォーターの磁石製造工場は2026年の稼働開始を予定しており、鉱山事業が立ち上がるまでの間も、比較的早期に需要を取り込める体制を整えている。

なぜUSAレアアース(USAR)が検討すべき選択肢なのか

USARは、今回のリストの中で最もリスクが高いものの、リターンも最大になり得る銘柄だ。事業は初期段階にあるが、政府支援が実現した場合の上振れ余地は大きい。同社のCEOは、トランプ政権と「緊密なコミュニケーション」を維持しているとされ、国防総省との契約や外部からの資金調達につながるのではないかとの思惑を呼んでいる。

仮にUSARが、MPマテリアルズが受けたような国防総省からの支援を獲得すれば、USARの株価は、MP株が2025年に記録した3桁%の上昇と同水準の急騰を再現する可能性もある。最近では、米国によるベネズエラでの軍事行動や、グリーンランドのレアアース鉱床への関心の再燃といった地政学的動きが、個人投資家の注目と売買高を押し上げている。

USARへの投資の核心にあるのは、同社が重希土類に特化している点だ。重希土類は中国の支配力が最も強く、西側諸国が代替供給源を最も切実に求めている分野でもある。スティルウォーターの施設は短期的な収益機会を提供し、ラウンドトップは長期にわたる戦略的価値を持つ。米中間のサプライチェーンの分断をテーマに、高いリスクを取ってレバレッジの効いた投資を狙う投資家にとって、USARは2026年に政策面の追い風が吹けば、上振れ余地が極めて大きい銘柄になり得る。

3. アメリカン・リソーシズ(AREC)

アメリカン・リソーシズ(AREC)は、傘下のReElement Technologiesを通じてレアアースを含む重要鉱物の精製・加工に特化した事業を展開している。同社がインディアナ州で運営する施設は、磁石グレードのレアアースや電池材料、その他の重要元素を年間数千トン規模で生産できる設計となっている。

ReElementの特徴は、鉱山廃棄物やリサイクル資源といった二次的な原料からレアアースを回収する点にある。こうしたアプローチにより、ARECは重要鉱物分野における循環型経済の担い手としての位置づけを確立している。ReElementは、2026年初頭にTransition Equity Partnersと2億ドル(約306億円)規模の出資枠を確保し、事業拡大や米国内外での追加精製拠点の整備に充てる計画だ。韓国やウズベキスタンを含む海外の組織とも提携し、米国と同盟関係にある国々とのサプライチェーン協力を進めている。

なぜアメリカン・リソーシズ(AREC)が検討すべき選択肢なのか

ARECは、従来型の採掘ではなく、精製・加工に軸足を置いたビジネスモデルによって、他社とは異なるエクスポージャーを提供している。業界が国内での加工能力強化へと舵を切る中、レアアース供給網における真のボトルネックである「加工」分野でのReElementの技術は、戦略的重要性を増している。

同社の鉱山廃棄物やリサイクル資源を含む多様な原料を処理できる柔軟性は、純粋な採掘企業にはない強みだ。政府との連携や、直近の資本コミットメントは、ReElementの技術と事業モデルに対する機関投資家の信認を示している。

時価総額がMPマテリアルズやUSAレアアースを大きく下回るAREC株は、バリュー株としての側面も持つ。そのため精製事業が計画通りに拡大すれば、大きな上昇余地が見込まれる。アナリストの多くは強気の評価を維持しており、目標株価は現在の水準から100%超の上昇余地を示している。

株価の変動性が高く、時価総額も小さいため、投資にあたってはポジション管理が重要となる。ただし、レアアースのバリューチェーンの中でも、重要度が高まる精製・加工分野への投資機会を求める投資家にとって、ARECは米国への生産回帰の流れと連動した魅力的な選択肢といえる。

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翻訳=上田裕資

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