北米

2026.02.11 14:00

年初から上昇傾向、投資を検討すべき「レアアース銘柄」5選 注目点とリスクを探る

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中国が加工・精製能力の約90%を握り、西側諸国の国家安全保障上の懸念につながる

レアアース元素は、かつては産業の脇役に過ぎなかったが、今や地政学的な火種となっている。17種類あるこれら鉱物は、EVのモーター、風力タービン、防衛システム、スマートフォンに至るまで、あらゆる分野を支えている。問題はその希少性ではなく、供給の集中にある。中国は世界のレアアース加工・精製能力の約90%を掌握しており、西側諸国の技術インフラを支える供給網に対して、極めて大きな影響力を持つ。

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この分野における輸出規制は、単なる関税とは異なり、戦略的な「締め付け」として機能する。他国が代替するには時間もコストもかかる資材へのアクセスを、中国が選択的に制限できるからだ。その現実は、2025年初頭、中国がテルビウムやジスプロシウム、サマリウム、イットリウムを対象とする包括的な輸出規制を打ち出したことで、改めて浮き彫りになった。これら元素に依存する産業には、大きな衝撃が走った。

これに対する米国の対応は迅速かつ大規模だった。2024年に約8270万ドル(約127億円。1ドル=153円換算)と評価された米国のレアアース市場(収益ベース)は、2030年まで年率9.5%で成長し、1億3500万ドル(約207億円)規模に達すると予測されている。ただし、関心を集めているのは市場の成長だけではない。政策の後押しが大きな要因となっている。

バイデン政権が決定した中国製レアアース磁石への25%関税は、2026年から適用される。またトランプ政権は、特定の中国製品に対する累積関税を54%まで引き上げるなど、強硬な姿勢を打ち出している。国防総省は、国内の加工施設や磁石製造工場を支援しており、許認可手続きの簡素化や税額控除といった優遇措置も整えられている。レアアースの探鉱予算は2025年に1億5500万ドル(約237億円)に達し、2012年以来の高水準となった。このうち80%は、オーストラリア、ブラジル、米国、カナダの4カ国に集中している。

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供給網は中国依存型から西側諸国が支える分散型へ移行し、勝者と敗者を生む

今後を見据えても、需要を押し上げる要因は依然として強い。EVや再生可能エネルギー、防衛用途に不可欠な永久磁石の需要は拡大を続けており、供給安全保障への懸念から、政権が交代しても政府支援は継続するとみられる。業界は、中国依存型の構造から、西側諸国が支える分散型の供給網へと移行しつつある。この転換は、勝者と敗者を生む。

連邦政府との連携を背景に、事業運営を着実に進められる企業は、レアアースの位置づけがコモディティから戦略的資産へと変化する過程で、数年にわたる追い風を享受する可能性が高い。

レアアース関連株の選定基準は、「事業の実行段階」「政府支援」「垂直統合の可能性」の3点

2026年に向けてレアアース関連株を選ぶには、事業の実行段階にどこまで近づいているかと、戦略的な立ち位置の両立を見極める必要がある。本稿での選定基準は、大きく3つに集約される。「生産開始の時期」「政府の支援」「垂直統合の可能性」だ。

すでに生産を行っている企業や、今後12カ月以内に施設の稼働を予定している企業は、まだ商業生産に入っていない段階の銘柄よりも高く評価した。ただし、明確な政府パートナーシップを持つ生産前の企業も対象に含めている。国防総省との契約や米輸出入銀行(EXIM)による融資、あるいは戦略的な資本提携に関する協議など、連邦政府の支援は重要な差別化要因となった。こうした支援は、各プロジェクトが米国のサプライチェーン強化の優先事項と一致していることを示すシグナルでもある。

もう1つの重要な視点が垂直統合だ。レアアースの採掘は出発点にすぎず、本当の価値と戦略的重要性が生まれるのは、分離、精製、そして磁石製造の工程にある。サプライチェーン全体をカバーする能力を構築している企業や、工程をまたいだ提携を進めている企業は、単一工程に依存する事業者よりも高く評価した。

最後に、市場の勢いとアナリストの評価も判断材料とした。年初来の株価パフォーマンスが強く、機関投資家の関心を集め、前向きな目標株価が示されている銘柄は、この急速に変化する分野において、実行力と戦略的価値に対する市場の信認を反映している。

5社すべてが赤字を計上している点は、成長への投資を意味する

なお、5社すべてが現時点では赤字を計上している点に気づくだろうが、これはこの段階のレアアース産業では珍しいことではない。多くの企業は、生産拡大の途上にあるか、加工施設を建設中、あるいは生産前段階のプロジェクトを進めている最中だ。いずれも、多額の初期投資を必要とし、プラスのキャッシュフローを生み出すまでに時間がかかる局面にある。

採掘や精製のインフラは、建設から本格稼働までに数年を要する。研究開発や許認可の取得、パイロットプラントの運営といった工程では、商業販売が始まるはるか前から資金の投入が続く。今回のリストで最も確立された生産者であるMPマテリアルズでさえ、短期的な利益の最大化よりも、磁石製造といった川下の分野の拡張に資本を投じている。

レアアース投資において、赤字は事業の失敗ではなく、成長への投資を意味する。施設が本格稼働し、規模の経済が働き始めれば、こうした損失が大きな利益へと転じることが期待されている。

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翻訳=上田裕資

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