トラブル対処法は「何もしない」
さらにトラブルへの対処方法を見ると、「特に対処しない」「できるだけ関わらないようにする」といった消極的な選択が上位を占めた。直接本人に伝えるよりも、距離を取ることで問題を回避しようとする姿勢がうかがえる。
■そのようなトラブルに対して、どのように対処する(または対処したい)と思うか(複数選択可)
特に対処しない(26.7%)
できるだけ関わらないようにする(22.5%)
管理会社や自治体を通す(16.4%)
本人に直接伝える(11.4%)
答えたくない(11.4%)
警察や専門機関に相談する(8.0%)
手紙や掲示などで間接的に伝える(3.6%)
この調査結果を見て、ある出来事を思い出した。以前住んでいたマンションの掲示板に管理会社から次のような張り紙が出されたことがあった。「風鈴の音がうるさいという苦情が複数寄せられています」。夏の風物詩として親しまれてきた風鈴が「騒音」として受け取られている。その事実に少なからずためらいを覚えたのを記憶している。同時に、ひとつの建物の中には「風流な音だ」と感じる人もいれば、不快な音として過敏に反応する人もいるという現実を突きつけられた出来事だった。
解決よりも、距離を保つ方へ
この調査結果が示しているのは、ご近所トラブルの増減そのものではなく、人と人との関係性の変質ではないか。問題が起きても、それを「解決すべき対立」として扱わず、関係を深めないことで摩擦を避ける。そうした行動や思考が、地域社会にも浸透してきたと考えられる。
また、管理会社や自治体、専門機関を通じた対応を選ぶ人が一定数いる点も見逃せない。これは、当事者同士で関係を調整することへのストレスを避け、その役割を制度や仕組みに委ねる傾向が強まっていることを意味する。
ご近所トラブルは、もはや一部の人の問題ではない。人間関係を「深める」よりも「安全な距離を保つ」ことが重視される現代社会において、地域という最小単位のコミュニティがどのように再定義されていくのか。その変化を静かに映し出しているのが、今回の調査結果だと言えるだろう。
出典元:「アイコニット・リサーチ」調べ


