組織の拡大と壁、外部資本の導入による体制強化
2023年には売上高が1億ドル(約156億円)を突破したが、その節目は同時に、創業当初の「小規模だが機動力のある少数精鋭チーム」では、事業の成長に対応しきれなくなったことを意味していた。ウェグマンは、年間1000万ドル(約15億6000万円)規模に膨らんだマーケティング予算を統括するためにマーケティング責任者を採用し、業務全般と約70人の従業員の管理のために経営体制を刷新した。
「財務面で次の段階に進むと、より大きな課題に直面する。そのときに必要なのは、専門性と経験を持つ人材だ」とウェグマンは語る。「最初の数年は根性だけで乗り切れたとしても、現在のような課題はそれだけでは解決できない」。
2024年には、実店舗の拡大に向けてシカゴ拠点のプライベートエクイティ投資会社ウェブスター・キャピタルに、1桁台の少数株式を売却した。これは同社にとって初の外部資本導入となった。この取引後も、ウェグマンはリング・コンシェルジュの株式の85%を保有しており、残りは一部の経営幹部と投資家が所有している。
2025年の売上高は横ばいとなったが、ウェグマンと彼女のチームは将来を楽観的に見据え、次の成長局面に向けた準備を進めている。「もう成功したと思った瞬間に、前に進む原動力は失われてしまう」と彼女は言う。
Z世代へのアピールに注力、しかし「若い世代に合わせるために、我々の本質を変えることはできない」
リング・コンシェルジュは現在、長期的な成長を見据えた事業基盤の整備と、米国で平均的な結婚年齢である28.6歳に近づきつつあるZ世代への訴求に注力している。そのため、TikTokでの発信を強化し、若年層インフルエンサーとの自然な形での提携を進めているほか、クラフトなどのブランドとの協業や、より手頃な価格帯のスターリングシルバー製コレクションも展開している。
「若い世代に合わせるために、我々の本質を変えることはできない」とウェグマンは語る。「我々は常に、色を多用しないミニマルなニューヨーカーであり続ける。その姿勢は、これからも変わらない。ジュエリーの魅力は、時代が変わっても価値が揺らがない点にある。テニスブレスレットは、その代表例だ」と彼女は続けた。


