起業家

2026.02.06 17:00

31万円を元手に「ジュエリービジネス」を立ち上げ、売上高270億円に育てた女性起業家

ニコール・ウェグマン(写真左)Photo by Bryan Bedder/Getty Images for YSE Beauty

コロナ禍でのデジタルシフトが追い風、実店舗展開への挑戦

新型コロナウイルスの流行は、消費者の婚約指輪の買い方を変えた点で、事業の転機となった。業界団体ジュエラーズ・オブ・アメリカで広報担当上級副社長を務めるアマンダ・ギジによれば、800億ドル(約12.5兆円)規模のダイヤモンドジュエリー市場はかつて、実店舗中心の業界だった。しかし2020年、ショッピングモールのブランドや地域の宝飾店、高級店が相次いで閉鎖に追い込まれると、リング・コンシェルジュのようなデジタル発のブランドは、ジュエリー購入のオンライン化の流れを追い風に成長した。

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「コロナ禍で事業は一気に拡大した。売上高は、この期間に3000万ドル(約47億円)から5000万ドル(約78億円)、8000万ドル(約125億円)へと急上昇した。小さなビジネスから、もはや小規模とはいえない段階に変わった」とウェグマンは振り返る。

リング・コンシェルジュは2021年後半、マンハッタンのウエストビレッジにあるブリーカー・ストリートに初の実店舗を開設した。その後、この店舗は閉鎖され、現在はソーホーにある約2000平方フィート(約186平方メートル)の、より広いブティックに移転している。「ブリーカーでは、1平方フィート(約929平方センチ)当たりの売上が驚くほど高かった。この場所は、実店舗の販売が我々にとって本当に機能するのかを示す、実証実験のようなものだった」とウェグマンは語る。

強盗事件を逆手に、ピンチをチャンスに変える発想

ウェグマンは、不運な出来事すら追い風に変えた。2022年春、ウエストビレッジの店舗が強盗被害に遭った際、リング・コンシェルジュはその出来事を、思いがけないマーケティング施策へと素早く転換した。偶然にもその約6カ月前、同社は毛皮とダイヤモンドを身にまとったモデルが金庫に侵入する「宝石強盗」をテーマにした撮影を行っていた。

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リング・コンシェルジュは、この強盗事件のイメージを即座にSNSで活用した。モデルのマグショットをあしらったトートバッグを制作し(実際の犯人はいまだ捕まっていない)、ダイヤモンド強奪を報じるフェイクの新聞も印刷した。被害に遭った店舗は2日後に営業を再開し、通りを埋め尽くす行列ができ、失われた売上も短期間で回復した。「コミュニティの反応は本当に熱狂的だった。逆境を前向きなストーリーに変えることに成功した」とウェグマンは振り返る。

彼女のブランドは現在、5店舗を展開中で、ニューヨーク市内にもう1店舗を構えるほか、ヒューストン、ロサンゼルス、フロリダ州ボカラトンにもブティックを構えている。ただし、実店舗への投資を進める一方で、売上の75%は依然としてECが占めている。

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翻訳=上田裕資

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