非技術系チーム、リーダー、マネジャーにとっての意味
明確にしておくと、Frontierはエンジニアリングチームに限定されない。AI展開に関する参入障壁を実質的に下げ、従来は非技術系だったチーム(人事、マーケティング、GTM、カスタマーサクセスなど)も、エージェント型ワークフローを活用できるようになった。
私は、ジョージタウン大学マクドノー・スクール(Georgetown McDonough)のPsaros Center for Financial Markets and Policyに所属する会計学の准教授で、同センターのファカルティ・アフィリエイトでもあるジェイソン・シュローツァーに、Frontierと、それがIT以外のビジネスリーダー、チーム、マネジャーにもたらす示唆について意見を聞いた。彼は楽観的だったが、回答には慎重さもにじんでいた。
プラットフォームへの依存が高まると、将来的な経済的リスクにつながる可能性
シュローツァーは「Frontierは、本来かかるはずのコストを反映していない戦略的価格設定により、企業が『簡単に使える自動化が安く手に入る』と期待するよう仕向けているのかもしれません」と述べた。
「このプラットフォームは、企業システム全体でAIエージェントを構築、展開、管理するという複雑な作業を引き受けることを謳っています。専門的なAIチームを雇わずに自動化を進めたい経営幹部にとって、これは魅力的に聞こえるでしょう。でも、この利便性には代償があります。企業は自社内の技術力を育てないまま、後に『ラグプル(突然の価格引き上げ)』が起きた場合に必要となる対応能力を失ってしまうのです」。
シュローツァーはさらに、OpenAIのFrontierのような技術革新に対して、リーダーやマネジャーが能力を構築するために、次の点を提案した。
・AIエージェントの「働き手」を監督するよう、マネジャーを訓練する(これは、私が昨年、IBMの幹部ジャスティナ・ニクソン=サンティルへのインタビュー後に書いた内容でもある)
・どのワークフローが自動化に適しているかについて、組織としての知見(組織知)を育てる
・エージェントの振る舞いに関するガバナンスの枠組みを確立する
・エージェントの出力を品質チェックし、例外的なケース(エッジケース)に対処できる人間の専門性を維持する
「企業がこれらの大部分をFrontierに委ねてしまうと」とシュレッツァーは続けた、「企業はFrontierを前提にワークフローを組み替え、かつて持っていた自社の人材や技術を削ぎ落とすことになります。そうなれば、プラットフォーム側が自由に価格を変えられる立場に立った時、企業はそのリスクに直面します。ビジネスリーダーが問うべき重要な戦略的問いは、AIで競争力を高めることと、プラットフォームへの依存を深めて将来の価格支配にさらされることの、境界線はどこにあるのかという点なのです」。
プロフェッショナル、ビジネスリーダーが問われる要素
ここで、高い成果を求められるプロフェッショナルとして、そしてリーダーとして、次のことが問われる。
・運用するAIエージェントの境界線を定義する
・AIが関与する場合はいつでも、チェックポイントにおける責任(アカウンタビリティ)を実在の人間に割り当てる
・AIエージェントと協働する方法をチームにコーチし、訓練する
・倫理面やハイステークスな意思決定では、人間を中心に据える
Frontierは、この種のプラットフォームの先駆けに過ぎない。エージェント型AIは2025年に流行語となり、今年はその実用化が本格的に始まる年だ。AI世界に大きな変化が起きるたびに、無数のスタートアップとビッグテックが追随する。
能力への投資や役割の再設計を行わないと、その代償は甚大に
重要なのは、自分自身の能力に投資することだ。スキルアップを図り、(リーダーならば)役割を再設計し、年末までに仕事がどう変わるかを見据える。今から動き出さなければ、手遅れになる。


