ロシア財務省は1月19日、2025年度の連邦予算執行状況に関する報告書を公表した。それによると、ロシアは25年、国内総生産(GDP)の2.6%に相当する赤字を計上した。同国の石油・天然ガス輸出による収入は8兆4800億ルーブル(約17兆円)で、前年の11兆1300億ルーブル(約23兆円)から約24%減少した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、自国の経済減速を公に認めた。
25年12月に開かれた毎年恒例の年末記者会見で、プーチン大統領はウクライナへの軍事侵攻の継続や西側諸国による経済制裁など、ロシアの政治経済に関するさまざまな話題に触れた。その中で同大統領は、25年のロシアのGDP成長率は1%だったと指摘し、自国が経済的な困難に直面していることを認めた。「これは政府、中央銀行、そして国家の指導部全体による、インフレ目標設定に関連する意図的な措置だ。インフレ率を6%以下に抑えるという目標が設定されていたため、全体としてこの目標は達成されつつあることに留意すべきだ。年末までにインフレ率は6%を下回る5.7~5.8%になるだろう。しかし、経済成長の減速は意図的な措置であり、経済の質とマクロ経済指標を維持するための代償だ。連邦政府の財政赤字は2.6%に上っている」
プーチン大統領は景気減速による財政赤字の増大に対処するため、付加価値税(訳注:日本の消費税に相当する税)の税率を引き上げる必要があると説明。これがロシア経済の課題に対処する「最も適切で誠実かつ透明性のある方法」だと強調した。
大統領の記者会見を受け、ロシア財務省は1月1日、付加価値税率を20%から22%に引き上げると発表した。さらに、ロシア政府はコンピューターやスマートフォンを含む電子機器に新たな税金を課すと発表した。これら一連の増税に関する発表を受け、ロシアで事業を展開する企業は商品の価格を一斉に引き上げた。ロシア英字紙モスクワ・タイムズによると、物流会社が料金を10~20%引き上げたほか、外食産業や民間の医療・教育機関の価格も平均で8~10%上昇し、IT関連のサービスも5~7%値上がりした。
政府による増税の発表や企業による価格転嫁、悪化の一途をたどるインフレにより、ロシアの一般市民は怒りを募らせている。米ワシントンの研究機関「ジェームズタウン財団」によると、ロシアでは経済状況に不満を抱えた市民による抗議活動が増えているという。活動の規模は小さいものの、ロシア国民は経済減速による社会的影響に加え、増税や価格上昇に伴う痛みを実感し始めている。ロシア企業も経済の現状について悲観的になりつつある。



