このような「Tier 1」レベルのシェルは、従来のようにAI向けデータセンターをゼロから建設する場合の数分の1という短期間で、Tier 3のAI対応データセンターへアップグレードされている。Tier 1データセンターはビットコイン採掘用だけのものではない。それはAI、クラウド、デジタル主権の要となる基盤層であり、その上にTier 3のAI向け大規模データセンターを構築できる物理的バックボーンなのだ。
ビットコイン採掘業者の「サイドビジネス」が本業に
多くのマイニング企業にとって当初はサイドビジネスだったものが、いまでは本格的なビジネスモデルになりつつある。その経済性が魅力的である点については、読者も同意していただけるのではないかと思う。
デジタル資産運用会社のコインシェアーズによると、上場ビットコイン採掘業者は2025年だけで、アマゾンやマイクロソフトといったハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)側と合計650億ドル(約1兆200億円)超にのぼるAI・高性能コンピューティング(HPC)関連の契約を結んだ。コインシェアーズは、AIインフラはビットコイン採掘に比べてメガワットあたり3倍の収益を生む可能性があると分析している。さらに、用途次第では、AIワークロードのキロワット時あたりの収益がマイニングの最大25倍に達することもあり得るという。
こうした数字を見れば、いまやマイニング企業のおよそ7割が、自社ポートフォリオにAIインフラを組み込む方向へ舵を切っているのも不思議ではないだろう。
マイニング企業の戦略的優位性:電力、土地、時間
ビットコイン採掘業者の強みは、必要な投入要素をすでに押さえている点にある。
調査会社バーンスタインのリポートによると、ビットコイン採掘業者は合計で14ギガワットを超える電力へのアクセスを確保しており、その大半は水力、風力、太陽光といった再生可能エネルギーの余剰がある地域にある。各社は、コストを抑えられ、広大な土地を確保できる地方エリアに戦略的に拠点を構えており、こうした立地もAIの拡張にうってつけだ。


