気候・環境

2026.02.14 17:00

回復するオゾンホール モントリオール議定書の成果と今後

宇宙からみたオゾンホール(stock.adobe.com)

宇宙からみたオゾンホール(stock.adobe.com)

オゾン層とその悪名高いオゾンホールの物語は、私たち全員にとっての道標だ。科学、経済政策、懐疑的な見解、そして行動の必要性といった複雑な環境問題を解決するための道筋を示している。NASAとNOAA(米国海洋大気庁)は昨年11月、2025年のオゾンホールが、モントリオール議定書が発効した1992年以降で5番目に小さかったと報告している。

オゾンホールは回復したのだろうか?

まず、問題を振り返ってみよう。成層圏のオゾン層は、単なる「科学的」な関心事ではない。それは地球上の生命を維持するために非常に重要なものだ。オゾン層は太陽からの紫外線を吸収する。エネルギーの強い紫外線であるUV-Bは、高線量だと人間や他の生命体に非常に有害となり得る。

科学者たちは1970年代から、冷媒やエアゾール缶などの工業製品に含まれるCFC(クロロフルオロカーボン)が関与する化学反応により、成層圏オゾンが減少する可能性について警鐘を鳴らし始めた。

英国の科学者ヘンリー・ドブソンと同僚たちは、1956年という早い時期からオゾンを監視していた。NASAのオゾン監視ウェブサイトによると、「1956年、英国南極観測隊は1957年の国際地球観測年(IGY)に備えて、南極にハレー湾観測所を設置した」という。1980年代までに、NASAの科学者たちは特殊な衛星測定を使用して、南半球の春におけるオゾン層の減少を監視していた。

何かが起こっていることが次第に明らかになってきた。しかし太陽活動周期、気象、化学的相互作用など、原因についてはさまざまな科学的見解があった。最終的に、研究はCFC、大気化学そして極成層圏雲の存在がオゾン層破壊に適した環境に適した環境であるという結論に収束した。そして、その後の研究と航空機観測により、CFCがオゾンホールと関連しているという強力な証拠が得られた。それはまさに「決定的な証拠」だった。

科学的証拠が積み重なるにつれ、オゾン層破壊物質を削減する取り組みが強化された。しかし、米国は経済、米国企業、ライフスタイルの変化への潜在的な影響を考慮し、幅広い国際的な関与を求めた。一部の政策関係者、科学団体、少数派の論調では懐疑的な見方も続いていた。米科学振興協会(AAAS)に寄稿したグレッグ・ホワイトサイズは次のように指摘している。

「規制が現実に近づくにつれ、『政治の科学化』は科学の政治化につながった……。商務省と行政管理予算局は研究に疑問を呈し、CFC規制に反対する議会議員たちは『世界のオゾン層は実際には変化していない』と主張した」

ホワイトサイズによると、ある米国の指導者は、人々にサングラスや帽子の使用を増やすよう提案したという。最終的に、科学と国際協力が勝利した。1987年のモントリオール議定書は、CFCを含むオゾン層破壊物質の段階的廃止を目指す国連主導の協定である。

次ページ > 南極成層圏のオゾン層は、今世紀後半には完全に回復する可能性がある

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事