万博最大のレガシー「こみゃく」から考える未来のデザイン 

Getty Images

生態系を育てるようなデザイン

アンビエント・ミュージックの第一人者ブライアン・イーノの有名な言葉に「建築家ではなく、庭師のように考えよう」というのがあるのですが、まさに未来のデザインを考えるうえでキーパーソンとなるのは、庭師ではないでしょうか。今回の万博における私の仕事もそうでした。

advertisement

社会の変化は動的なものなので一度デザインしたら終わりではなく生態系を育て続けるように毎日毎日デザインし続けるべきなのです。万博のレガシーを日本社会全体に共有することで、街づくりや組織づくりといった分野においても、“庭師”が活躍する時代になるかもしれません。そうした「社会を動かすためのデザイン」までつなげて初めてデザインシステムが完成します。

東京五輪も大阪・関西万博も経験した私は、これからは新しい創造性を社会にインストールさせるためのプロトコルを整える場が重要になると感じています。そこで個人としては、25年1月にスタートしたプロジェクト「COMMONs(コモンズ)」を本格始動させ、26年に社団法人化する予定です。

コモンズはテーマごとにラボをつくり、デザイナー、クリエイター、アーティスト、エンジニア、研究者、起業家、教育者、企業、行政、NPO/NGO、市民らを巻き込んで議論をするオープンプラットフォームです。そしてそこで語られる複数の未来(Visions)を、実際の社会や文化、ビジネスへとつなげていく。すでに第1弾プロジェクトとして大阪・関西万博で生まれたデザインレガシーを「未来をつくる共有資産」としてどのように地域に残していくのか、といったソフトレガシーを考えるプロジェクトも動き出しています。

advertisement

将来的にはイベントや情報発信などを通して、次世代の教育にもつなげていきたい。こうした研究所と企業と遊び場と教育がすべて接点をもつようなコモンズこそ、これからの社会に必要な場所ではないでしょうか。


ひきち・こうた◎大学卒業後、タナカノリユキ氏のもとで活動。「1→10」でグローバルブランドのクリエイティブからエンターテインメント開発、アートプロジェクトなどを担当。2022年に独立し、25年1月にVISIONsを設立。大阪・関西万博デザインシステムのクリエイティブディレクター/アートディレクター。

文=田中友梨

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事