アジア

2026.02.05 10:30

トランプが促す「中国ピボット」 米関税、世界の貿易構造を再編

北京で2026年1月29日、首脳会談に先だち握手するキア・スターマー英首相(左)と中国の習近平国家主席(Carl Court/Getty Images)

中国株式会社に対するトランプの「支援」のおかげで、習の経済は厄介な課題から国民の目をそらせるようになっている。中国経済は2025年に5%成長したものの、デフレを助長し、消費者心理を損なう深刻な不動産危機を抱えたまま2026年に入った。

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中国の若年失業率は17%前後と高い水準で推移し、2025年に抗議行動が前年比70%増える一因になった。不満がとくに高まっているのは、製造業が集積する地域だ。これは、貿易戦争が中国の現場レベルで実際に深刻な打撃を与えていることを示唆する。

もっとも、それによって世界で米国経済が占める地位が受けている打撃は、はるかに大きい可能性がある。習や中国共産党については、たしかに批判すべき理由がいくつもある。それでも、批判者たちでさえ認めざるを得ないのは、中国が貿易の軸足を米国から東南アジアや欧州に移すことに成功し、そのおかげで目覚ましい成長を続けていることだ。

対照的にトランプは、米国にとって最も重要な貿易パートナーの国や地域を驚くべき速さで失いつつある。大統領は「米国売り」はフェイクニュースだと主張しているが、米国の利益になることをしていないのは明白だ。日本政府高官の間でも、北京への新たな訪問を計画する動きが出てきてもおかしくないのではないか。

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日本の高市早苗首相にとって、これはほかの多くの首脳よりも切実な問題だ。日本は米国債の世界最大の保有国なのだ。トランプが連邦準備制度理事会(FRB)を攻撃し、その関税が債券市場を揺さぶるなか、およそ1兆2000億ドルにのぼる日本のドル建て資産が危うい状態に置かれている。日本政府にできるのは、それらの資産が今年、大幅な含み損を抱えることにならないよう祈ることだけだ。

一方、中国では、トランプの経済よりも混乱の少ない環境を求める外国要人を迎えるため、習のチームが連日赤じゅうたんを敷いている。まさに意図せざる結果と言うほかない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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