電子メールは職場における機能不全の原因であると同時に、その解決策とされてきた存在だ。
マイクロソフトの働き方についての年次報告書「2025 Work Trend Index」によると、平均的なリーダーは1日に約117通のメールを受け取っている(加えてTeamsのメッセージは153件)。これは、私たちの注意を奪い合うデジタルコミュニケーションの量がいかに膨大かを示している。そのうち、実際に「業務上、重要」であるものは10%以下、つまり大半のメッセージは具体的な対応を必要としていない。
問題は量ではない。メールが重要性を発しながら、私たちをタスクから引き離してしまう点にある。
もしリーダーが、自分が送信したメッセージが実際にはわずかな時間しか目を向けられていないこと、そしてそれがどれほど大きな認知的な犠牲を生んでいるのかを理解していたら、多くの人はこの管理手法をやめるだろう。
そうしたことから、賢いリーダーたちは「メールで管理する」やり方を手放し始めている。その理由は以下の通りだ。
思っているほどあなたのメールは読まれていない
まず、耳の痛い事実から始めよう。人はメールをほとんど読んでいない。
業務のメールを書くのには5分程度かかり、内容が複雑であれば1時間かかることもある。では、労力をかけたそのメールを受け取った側が読むのにどれくらいの時間をかけるのか。
およそ9秒だ。
メールを読むのではない。仕分けだ。
リーダーシップの観点から見ると、これは重大な問題だ。戦略やフィードバック、指示をメールに頼っている場合、間違いなくそれらは半分しか読まれず、誤解されるか、完全に見落とされる可能性が高い。
メールは「伝えた」という幻想を生むが、実際の整合性は生まれない。
メールは集中力を奪い去る
メールの問題は読み飛ばされることだけでない。
米カリフォルニア大学の研究によると、メール確認などで作業が中断された後、再び集中するまでに平均で約23分かかるという。
つまり、約10秒で読んだ1通のメールが密かに30分近く思考を阻害しているということになる。
一般的に人は1日に15〜30回超、メールを確認する。前述のマイクロソフトの年次報告書によると、従業員は1日に数百回も端末に届く通知によって作業が中断されている。結果として、常に作業の切り替えを強いられ、注意力が分散してしまう。
心理学的観点から、これは本当に問題だ。持続的な中断がワーキングメモリを損ない、精神的疲労を増やし、意思決定の質を下げているとすれば、メールで管理するという行為は単にチームメンバーを邪魔しているだけではなく、認知リソースを消耗させていることになる。
中断が常態化
メール中心のカルチャーは、考えることよりも即応性を評価する。
緊急性は曖昧になり、絶え間ない中断が常態化する。それが意味するのは「成果よりも常時対応できることが重要」ということだ。
カナダのブリティッシュコロンビア大学の研究では、メール量が多いほどストレスが増加し、心理的に仕事から切り離されにくくなることが示されている。これはバーンアウト(燃え尽き症候群)の主要な予測因子だ。
リーダーが監督手段としてメールに依存すると、明確さではなくノイズが生まれる。本当に意味のある重要な仕事は埋もれ、意思決定は遅れる。そして従業員は問題解決よりも受信箱の管理に多くの時間を費やすようになる。



