フランス・パリ検察庁は3日、米実業家イーロン・マスクが所有するソーシャルメディアプラットフォーム「X(旧ツイッター)」のフランス事務所を、同庁サイバー犯罪対策班が家宅捜索したと発表した。また、マスクとXの前最高経営責任者(CEO)であるリンダ・ヤッカリーノに対し、事情聴取のため出頭を求める召喚状を送ったという。
XおよびXに搭載された生成AI(人工知能)チャットボット「Grok(グロック)」をめぐっては、性的ディープフェイク画像や本人同意のないヌード画像の作成・拡散をめぐって国際的な監視が強まっている。
パリ検察庁によると今回の家宅捜索は、Xのアルゴリズムに関する告発に基づき2025年1月に開始した捜査の一環。その後、Grokの機能に関する通報を受けて捜査対象を拡大し、「ホロコーストを否定するコンテンツや露骨な性的ディープフェイクの拡散」や児童ポルノの「所持および組織的な拡散」など、Grokで生成されたコンテンツをめぐる複数の刑事犯罪容疑で捜査を行っているという。
家宅捜索には仏国家憲兵隊のサイバー捜査班と欧州刑事警察機構(ユーロポール)のチームも加わったという。
Xとマスクは、本稿公開時点で家宅捜索について何のコメントも出していない。
4月20日に出頭要請、マスクとヤッカリーノの対応に注目
パリ検察庁は、マスクとヤッカリーノの両名に対し、「事実上および法律上のXの管理者として」4月20日に「任意聴取」のため出頭するよう召喚状を送ったことを明らかにした。Xの従業員に対しても、4月20日~24日に「参考人聴取」を要請する召喚状が送付された。
検察によるとこの任意聴取は、一連の問題についてのマスクとヤッカリーノの見解を聞くとともに、苦情に対処するため実施を計画しているコンプライアンス対策があれば説明する機会を提供することを目的としている。
EUも独自に調査開始
パリ検察庁は1月上旬、Grokによって生成された露骨な性的ディープフェイクについて捜査中であることを初めて発表した。フランス国民議会(下院)の議員2人による告発を受けての動きだ。
欧州連合(EU)も先週、同意のない性的ディープフェイクの作成をめぐり、XとGrokに対する正式な調査を開始した。欧州委員会は、XがEU市民を「深刻な危害」に晒したと非難。調査では「Grokの機能をEU域内でXに導入する際のリスクを同社が適切に評価・軽減したか」を検証すると説明した。
この調査はEUデジタルサービス法(DSA)に基づき実施され、違反企業には年間世界売上高の最大6%の制裁金が科される可能性がある。



