政治

2026.02.04 12:00

米フォーブス編集主幹、NATOの存在意義を改めて強調

北大西洋条約機構(NATO)創設に当たり、条約に署名するハリー・トルーマン米大統領(中央)。1949年8月24日撮影(CORBIS/Corbis via Getty Images)

北大西洋条約機構(NATO)創設に当たり、条約に署名するハリー・トルーマン米大統領(中央)。1949年8月24日撮影(CORBIS/Corbis via Getty Images)

北大西洋条約機構(NATO)は近年、全く敬意を払われていない。グリーンランドを巡る騒動や、NATOがトランプ大統領の「口撃」のお気に入りの標的であることから、この極めて成功した軍事同盟が米国と世界の安全保障にとって不可欠であり続けているとは、到底想像できないだろう。だが、NATOの崩壊を看過すれば、第三次世界大戦につながる歴史的災難にもなりかねない。

NATOは米国の主導の下、ソビエト連邦による西欧諸国への脅威に対抗するため、1949年に設立された。その中核理念は単純明快だった。「加盟国1国への攻撃は全加盟国への攻撃と見なす」。フランスとイタリアに強力な共産党が存在していた当時、ソ連は米国と欧州を分断しようとしたり、西欧諸国同士を対立させようとしたりすることを諦めるべきだった。NATOの初代事務総長は、設立の目的を痛烈に表現した。「ロシア人を締め出し、米国人を仲間に加え、ドイツ人を抑え込め」

NATOは機能した。ソ連は40年にわたる冷戦に敗れたのだ。しかし、冷戦の終結はNATOの終焉を意味するものではなかった。ソ連の支配下にあったポーランドをはじめとする中東欧諸国も、ソ連の崩壊から新たに独立を果たしたリトアニア、ラトビア、エストニアといった国々も、自国の自由が保証されているという幻想は抱いていなかった。共産主義ユーゴスラビアの崩壊とともに独立した国々も同様だった。

これらの国々は全て、ロシアで逆行的な勢力が台頭する可能性を認識していた。それがNATO加盟を促したのだ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による残忍な行為が示すように、同国の侵略に対するこうした懸念は根拠のないものではなかった。実際、スウェーデンとフィンランドが中立を放棄してNATOに加盟した理由もまさにそこにあった。

NATOはプーチン大統領の帝国主義的野心を抑え込む上で鍵となる。NATOが提供する安全保障と欧州連合(EU)に代表される欧州の経済統合の進展により、ドイツとフランスの戦争は考えられないものとなった。欧州はもはや大国の権力闘争の舞台ではない。

しかし今や、致命的な危険が潜んでいる。NATOの衰退は、前世紀の2度の世界大戦以前の時代のように、各国が自ら身を守る必要に迫られることを意味する。アジアと中東もまた、米国がもはや中国、ロシア、さらには北朝鮮の帝国主義的野望に対抗する助けとして頼りにならないことを悟るだろう。この各自が自国の防衛に走る体制は、第二次世界大戦以前のはるか昔からそうであったように、必ずや大きな問題を引き起こす。

ドナルド・トランプ米大統領が政権に就く前は、米国を含むNATO加盟国の大半は、無謀にも自国の軍隊を衰退させていた。今や誰もが外部からの危険に気づいている。より良い世界を実現するためには、米国がNATOと協力して積極的な指導力を発揮することが極めて重要だ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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