経営・戦略

2026.02.04 10:30

史上最大の人員削減を発表したアマゾン、だが「AIが職を奪う論争」とは無関係

Sven Hoppe/picture alliance via Getty Images

AWS投資の論点

最も説得力があるのは、他社のAI導入によってAWSが恩恵を受けるという声である。ただし、それには一定の条件がある。

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2025年第3四半期、AWS事業の売上高は前年比20%増の330億ドル(約5兆1400億円)となった。また、年間売上高は2024年度に1000億ドル(約15兆5700億円)を超えている。グーグル、マイクロソフトなど他のハイパースケーラーとのマルチクラウド・データベースに関する連携は、2024年第3四半期から第4四半期にかけて前期比で115%増加した。

一方で、競争圧力も強い。Microsoft AzureとGoogle CloudはAWSよりも速い成長を続けている。クラウド市場におけるアマゾンのシェアは、売上が増加する中でも長年低下してきた。

「すべての企業経営者は他社に追従し、AWSからインフラを借りざるを得ない」という主張は、AWSの立場を過大評価している。Google Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloud Infrastructureはいずれも、法人向けAI市場をめぐって競合している。AWSは最大手ではあるが、唯一の存在ではない。

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レイオフが実際に示すもの

アマゾンが削減する3万人は、コーポレート部門の全従業員35万人の約8.6%に相当する。削減対象は、中間管理職、エンジニア、人事担当者で、その範囲は、プライム・ビデオ、AWS、小売事業全体に及んだ。独立系テクノロジーニュースサイトのギークワイヤーによれば、小売部門で削減された従業員の78%超は、中間管理職(L5からL7のジョブレベル)だった。

このシグナルは、AI変革論が示すほど複雑ではない。アマゾンはパンデミック期に過剰採用し、その是正を進めている。メタ、マイクロソフト、インテル、グーグルなど、他のテック企業も同様の理由で人員削減を行っている。

ゴールドマン・サックスの調査では、AIを理由に積極的にレイオフを行っている企業は11%にとどまった。より広範な要因は、経済的な不確実性、パンデミック後の調整、コスト規律である。

ジャシーは2025年6月、AIがもたらす生産性向上によってコーポレート部門の人員は時間とともに減少するだろうと、従業員に伝えていた。しかし、2025年10月のレイオフについては、AIではなく、カルチャーと官僚主義が原因だと説明している。

CEOを務めるジャシー自身の言葉は、AIによって「肥大化した本社の時代が終わったことを、アマゾンが証明している」という主張を支持するものではない。

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翻訳=江津拓哉

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