経営・戦略

2026.02.04 10:30

史上最大の人員削減を発表したアマゾン、だが「AIが職を奪う論争」とは無関係

Sven Hoppe/picture alliance via Getty Images

アマゾンのAI投資:置き換えではなくインフラ

アマゾンが「動きの遅い官僚的組織を、高速で自動化された組織に置き換えるために、AIとデータセンターに1250億ドル(約19兆4600億円)を投資している」との声もある。

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1250億ドルという数字自体は正しい。アマゾンは2025年10月に設備投資額の見通しを1250億ドルに引き上げ、その大半はAWSのインフラに向けられている。しかしこの投資は、アマゾン内部の人員を自動化するためのものではなく、他社にクラウドコンピューティングを提供するためのデータセンターの構築に充てられる資金である。

ジャシーは2024年第4四半期決算説明会で、このAI投資を、AWSにとって「一生に一度のビジネスチャンス」と表現しており、これを労働力の変革とは位置づけていない。この投資は外部顧客向けのサーバー、ネットワーク機器、そしてAmazon製のAI半導体「Trainium(トレーニウム)」に充てられているのだ。

アマゾンは物流ネットワークに100万台超のロボットを配備しており、流出した文書では、2027年までに60万人の現場従業員を自動化によって置き換える計画が示唆されている。しかし、今回の3万人削減はコーポレート部門の従業員が対象であり、倉庫で働く従業員ではない。約120万人規模のフルフィルメント要員は、今回の削減対象ではないのだ。

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株価の反応

「もし、アマゾンのような巨大企業が従業員の10%を削減したことで株価が上昇したとすれば、それは市場からの明確なメッセージだ」との声もある。

確かに、アマゾン株は2025年10月の決算発表後に上昇し、2025年11月3日には258.60ドルの史上最高値を記録した。しかしその株価上昇は、市場予想を上回る決算に反応したものである。売上高は1802億ドル(約28兆600億円)で前年比13%増、そしてAWSは20%の成長と、2022年以来の高成長を示し、EPS(1株あたりの純利益)は市場予想の1.57ドルに対して1.95ドルだった。

今回のレイオフは決算発表と同時に公表された。どの要因が株価を押し上げたのかを考えるには、推測が必要だ。年初来では、アマゾン株は3.6%高にとどまり、S&P500を下回っている。

また、アマゾンは2025年10月のレイオフに関連して18億ドル(約2800億円)の退職関連費用を計上しており、人員削減にはコストがかからないわけではない。

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翻訳=江津拓哉

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