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2026.02.05 12:30

ウォール街よ心配するな、ソフトウェアは死んでいない──役割が変わっただけだ

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誰もが突然、ソフトウェアの終焉についてパニックに陥っている。上場市場も未上場市場も混乱しているようで、この新しいAI時代の勝者と敗者を選り分けようと、相場はジェットコースターのように乱高下している。

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その反応は理解できるが、本質を見誤っている。この変化は何年も前から進行していた。私がSaaS(クラウド経由で提供されるソフトウェアサービス)がAIによって根本的に脅かされていると書いたとき、問題は自動化やコストではなかった。差別化だったのだ。

私自身も、AIを前提に何かを作ってきた人々と同じ落とし穴に陥ってきた。AIのコード生成ツールを使って何かを作ると、自分の指でそれを現実にしたのだから特別に感じる。(とりわけプログラマーでない人ほど、そう感じやすい。)

ソフトウェアが、それまでできなかったことを突然やってのけるのを見ると、深い心理的な報酬がある。自分に超能力が備わったように感じる。その感覚が、自分は何か唯一無二のものを作ったのだと確信させる。

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だが、多くの場合、そうではない。

価値は機能からカスタマイズへシフト

短時間で作れたのなら、別の誰かも同じくらい短時間で似たものを作っている。おそらく何十個もある。創造を魔法のように感じさせるスピードこそが、市場として成り立つ見込みを壊すスピードでもある。作りやすいソフトウェアは真似もしやすい。その種のソフトウェアは、事実上、死んだも同然だ。

これは、長年のベンチャー投資の直感を壊す。何年もの間、狭いユースケースは称賛されてきた。問題が明確で、提供価値が単一で、説明しやすく、投資判断もしやすい。

その論理は、もはや成り立たない。

ユースケースが狭いほど、他の誰もがまったく同じものを作っている可能性が高い。AIは、焦点を絞った機能を届けるために必要なコストと時間を劇的に圧縮した。かつて差別化要因だったものが、今や参入の最低条件になった

いま重要なのはソフトウェアそのものではなく、それが誰のためであり、その相手にどう適応するかである。

真の価値は機能ではなく、カスタマイズへと移った。ここで言うカスタマイズとは、かつてのエンタープライズの意味での、長い導入プロジェクトと硬直的な設定ではない。真に一対一のソフトウェアである。特定の個人や企業が実際にどう動いているかに合わせて、ワークフロー、ロジック、機能が形作られる。

何千人もの人間を訓練して1つのシステムに適応させるのではなく、システムのほうが彼らに適応する。

この反転が、すべてを変える。

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翻訳=酒匂寛

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