エクスペリエンス・フレームワークの台頭
このモデルでは、すべてのユーザーが製品の挙動に対して一定のコントロールを持つ。単なる好みや設定ではなく、仕事が実際にどう進むかを決めることができる。ソフトウェアはもはや固定された製品ではない。ユーザーの思考の仕方や価値提供の仕方に沿ってパーソナライズされた能力になる。これが現代のスキルアップの姿かもしれない。
ソフトウェアが終わるのではない。硬直したソフトウェアが終わるのだ。
同時に、別のクラスのソフトウェアが、これまで以上に価値を増している。企業向けに新たな価値を生むソフトウェアだ。これは今年、ダボス会場周辺で話題になっていた。
個々の能力が安価で潤沢になるにつれて、調整・連携が希少資源となる。最も難しい問題は、もはやコードやコンテンツやアクションを生成することではない。難しいのは、何が起きるべきか、いつ起きるべきか、誰がそれをできるのか、そしてそれらすべてが組織内でどう一貫性を保つのかを決めることだ。
いま、真の企業価値が宿るのはそこだ。この種のソフトウェアは、多数の個別ツールを連携させるためのフレームワーク(基盤的な仕組み)を提供する
力を増幅する装置としてのソフトウェア
台頭しているソフトウェアの1つのカテゴリーは、生成プラットフォームである。単に何かを生成するだけの単機能ツールではなく、チーム横断で「生成をどう進めるか」を標準化するシステムだ。出力をどう構造化するか。品質をどう担保するか。再利用が時間とともにどう積み上がるか。
もう1つは、仕事を調整・統率するエージェント型システムだ。単一のエージェントが作業するのではなく、多数のエージェントを管理し、役割を定義し、相互作用を統治し、実際の業務手順に統合するシステムだ。価値はエージェントそのものにあるのではない。エージェントが力を発揮できるようにするシステムにある。
ここでの重要な基盤レイヤーは、エンタープライズ・コンテキスト(企業内の文脈情報)である。それを保存し、共有し、制御することだ。権限管理のないコンテキストは負債である。重要なソフトウェアは、どんな情報が存在し、誰がそれを見られ、どう使え、AIシステムが人や企業の代理として行動するにつれてそれがどう進化していくかを定義する。
最後に、他のソフトウェアをより強力にすること自体が主な価値であるソフトウェアがある。インフラ層、抽象化システム、ガバナンス・エンジン、調整フレームワークである。表面上は見えないかもしれないが、これらは力を増幅する装置だ。


