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2026.02.04 12:30

中国勢がほぼ独占、オープンモデルAIを巡る競争に米新興Arcee AIは食い込めるか

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米国のスタートアップが、1兆超のパラメータを持つモデルの学習に向け、企業価値評価額10億ドル(約1550億円。1ドル=155円換算)超で投資家に売り込みを行っている。Moonshot AIDeepSeekいった中国の研究所から、オープンウェイト(学習済みパラメータ[重み]を公開する方式)モデルの主導権を取り戻す狙いだ。

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米国の投資家が直面する、AIをめぐる不都合な現実

米国の投資家は、人工知能(AI)をめぐる不都合な現実に直面している。世界で最も強力なオープンモデル(編注:クローズドモデル[プロプライエタリモデル]の対義語。オープンソースAIとは異なる)の多くがもはや米国ではなく中国で作られているという現実だ。この1年、技術者や金融関係者の間で、米国がDeepSeek、Moonshot AI、Z.ai(旧ブランド名はZhipu AI)といった中国の研究所に、オープンウェイトAI市場を静かに明け渡しているとの懸念が広がってきた。

オープンウェイトモデル上位6つは、すべて中国企業

広く注目されている指標の1つでは、その懸念はもはや机上の空論ではない。独立系のAIベンチマーク機関Artificial AnalysisのAIリーダーボードによると、最高性能のオープンウェイトモデル上位6つはすべて中国企業が開発したものだ。普及も着実に進んでいる。OpenRouterとベンチャーキャピタル(VC)のアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)が公表した報告書によれば、中国のオープンウェイトモデルの総AI利用に占める週間利用の割合は、2024年後半には1.2%だったが、12月には約30%へ急増した。

「AIスタートアップのおよそ20%がオープンモデルを使っています。そうした企業のうち、およそ80%は中国のモデルを使っているといえるでしょう」と、アンドリーセン・ホロウィッツのゼネラルパートナーであるマーティン・カサドはForbesに語った。

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Arcee AI──中国の最先端オープンモデルに対する米国内の代替

そんな状況の中、サンフランシスコ拠点のArcee AI(アーシーAI)は、その流れを覆せると考えている。同社はオープンウェイトモデルのAIを作る基盤モデル研究所で、2億ドル(約310億円)超の資金調達ラウンドを投資家に持ちかけており、企業価値評価額は10億ドル(約1550億円)超になる見込みだと、事情に詳しい関係者2人がForbesに語った。Arcee AIの賭けは、西側の投資家が、商業的にもイデオロギー的にも、中国の最先端オープンモデルに対する米国内の代替となる企業を支援する理由を見出してくれるということだ。

最大の競合は、最高水準の米国製オープンモデルを目指すReflection AI

Arcee最大の競合はReflection AI(リフレクションAI)になる見通しだ。同社は元Google DeepMind(グーグル・ディープマインド)の研究者2人が創業し、昨年、最高水準の米国製オープンモデルを作るという同じ目標で20億ドル(約3100億円)を調達した。

メタの最大規模のLlama 4バリアントに匹敵するという「Trinity large」を公開

今週、Arceeは基盤モデル「Trinity large」を公開した。同社によれば、メタの最大規模のLlama 4バリアントに匹敵するという。Arceeは、Trinity largeと、さらに小型のオープンモデル3つを、2000万ドル(約31億円)で、かつ6カ月未満で学習できたとしている。研究所は通常、学習コストを開示しないが、VCのInnovation Endeavorsは、Llama 4の学習には3億ドル(約465億円)超、OpenAIのGPT-4の学習には1億ドル(約155億円)がかかったと推定している。一方DeepSeekは、人気モデルDeepSeek-R1の学習にかかった費用は29万4000ドル(約4600万円)にすぎないと述べている。

次ページ > OpenAIのGPT 5.2やグーグルのGemini 3と並ぶオープンモデルの構築が目標

翻訳=酒匂寛

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