経営・戦略

2026.02.03 08:41

AI投資の大半が空振り——ROI達成企業12%に学ぶ、成果を生む測定指標の新常識

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PwC、Anthropic、OpenAIが1月に発表した最新レポートは、重要な転換点を示している。AI利用は拡大しているものの、大多数の企業にとって財務的リターンは依然として捉えどころがない。このギャップを埋めるための新たな測定手法を紹介する。

測定なき実験の時代は、今月で終わった。2026年1月15日から22日にかけて、PwC、Anthropic、OpenAI、グーグルから相次いで発表されたレポート群は、能力重視から会計重視への転換を示唆している。その結論は明確であり、同時に不都合なものだ。導入は拡大しているが、価値創出は停滞している。

取締役会にとって、その意味は即座に理解できる。2025年の測定指標は「利用者数」だった。2026年の測定指標は「監査可能な成果」である。

ROIの現実

そのギャップは明白だ。投資は急増しているが、リターンは遅れている。PwCの2026年CEO調査は、決定的な検証結果を提供している。CEOの56%が、過去12カ月間にAIから売上増加もコスト削減も得られていないと報告している。両方を達成したと報告しているのは、わずか12%だ。

この数字は「パイロット版の乱立」を糾弾している。ツールへのアクセスは民主化されたものの、それらを収益化するために必要な変革は民主化されていないことを示唆している。この分断は偶発的なものではなく、構造的なものだ。財務的リターンを報告しているCEOは、意思決定と需要創出全体にAIを広範囲に組み込んでいる可能性が2倍から3倍高い。彼らは単にライセンスを購入しただけでなく、業務プロセスを再構築したのだ。

その教訓は明白だ。AI支出は、利用が増えるだけではROIにならない。価値獲得には、単なるライセンス配布ではなく、ワークフローの再設計が必要だ。

新たな分析単位:「プリミティブ」

「利用者数」が虚栄の指標であるなら、何がそれに取って代わるのか。Anthropicの1月15日のレポートは、より優れたフレームワークを提供している。それが「経済的プリミティブ」だ。

一般的なログイン活動を追跡するのではなく、このアプローチはタスクの複雑性、自律性、成功率を測定する。チャットボットにメールの要約を依頼する利用者(低複雑性、低自律性)と、複数ステップのコーディングワークフローを委任する利用者を区別する。

この粒度は、ROIモデリングにとって不可欠だ。なぜなら、異なるタスクは経済的インパクトが大きく異なるからだ。Anthropicのデータによると、ソフトウェア開発リクエストは平均3.3時間の人間相当の作業に相当するが、個人管理タスクは平均わずか1.8時間だ。

取締役会は、CIOにこの「作業タイプの組み合わせ」について報告を求めるべきだ。低価値プリミティブの高い導入率はコストセンターであり、高複雑性プリミティブの的を絞った導入は生産性エンジンである。

広さ対深さ:能力ギャップ

OpenAIの1月21日の分析は、この「深さ」の論点を補強している。彼らのデータは、巨大な「能力オーバーハング」——モデルができることと実際の使われ方のギャップ——を明らかにしている。

2つのデータポイントが機会を定義している。第一に、パワーユーザー配当:典型的なパワーユーザーは、平均的ユーザーよりも高度な「思考能力」を7倍多く活用している。第二に、国家間の相違:70カ国以上にわたって、これらの高度な能力の利用強度に3倍のギャップがある。

AI支出は、利用が増えるだけではROIにならない。価値獲得には、単なるライセンス配布ではなく、ワークフローの再設計が必要だ。

多国籍企業にとって、これは新たな競争力変数を生み出す。人材市場はもはやデジタルリテラシーだけの問題ではなく、エージェント的流暢性の問題だ。高深度地域のチームは、同じソフトウェアを使用していても、低深度地域のチームを上回る成果を上げるだろう。

制御層:ガバナンスとしての計測

マネジメントには測定が必要だ。グーグルの1月20日のWorkspaceアップデートは戦略的に示唆に富んでいる。Geminiの利用指標——アクティブイベント、ユニークユーザー——を管理ダッシュボードに直接公開したのだ。

これにより、AIは「シャドーIT」現象から、計測可能な項目へと移行する。ダッシュボードは、財務部門が部門別損益計算書に対する消費を追跡するために必要な監査証跡を作成する。利用の急増を測定できなければ、効率性の主張を検証することはできない。

リーダーにとっての意味

  • 利用と価値を分離する:「広さ」(ログイン)と「深さ」(複雑なワークフロー)を区別するレポートを要求する。
  • 「プリミティブ」を標的にする:AIパイロット版を複雑性と自律性の観点から監査する。単なる要約であれば、それは変革的ではない。
  • ワークフローを計測する:管理ダッシュボードを使用して、消費を特定のチームにマッピングし、アウトプットKPIと相関させる。
  • 再設計に資金を投入する:ROIが「組み込まれた」AIと相関することを認識し、ソフトウェアだけでなく、プロセス再構築に予算を配分する。
  • 12%を監視する:コストと売上の両方の利益を報告している競合他社の少数派を研究する——彼らがあなたの真の脅威だ。

ウォッチリスト:今後90日間

  • KPI標準化:CFOは、物語的な更新ではなく、標準化された「AI損益計算書」パックを要求すると予想される。
  • 測定指標によるベンダーロックイン:ベンダーは生産性の「標準」測定を定義する競争を繰り広げるだろう。
  • 規制当局の関心:測定が改善されるにつれ、規制当局は「自律性」と「安全性」プリミティブに関するデータを要求するだろう。
  • エージェントへの転換:投資は、より高い自律性——そしてより高いリスク——を約束するエージェント的ワークフローへとシフトするだろう。

結論:「AIの魔法」のハネムーン期は終わった。我々はAI会計の段階に入った。競争優位は今後、パイロット版を称賛するのをやめ、成果を監査し始める組織に蓄積されるだろう。

forbes.com 原文

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