2. 人口増なのに「メタバースは終わった」? Meta不振の一因はHorizon Worlds?
VRChat API Metricsから2026年1月現在までのVRChatの同時アクセス数の推移をまとめたのがこちらのグラフだ。マーク・ザッカーバーグ氏がメタバースへの大規模投資とMeta社への改称を発表し話題となったいわゆる「Meta宣言」(2021年10月)直後の大きな伸びが目立つが、実はその後も全体としては右肩上がりの成長を続けていることがわかる。
直近の増加を牽引している要素としては、日本の有名ストリーマー「スタンミじゃぱん」がVRChatに参入したことで巻き起こった空前の"スタンミ"ブーム(2024年6月以降)や、Metaの新型VRゴーグル「Quest 3S」の普及(2024年10月以降)などが考えられる。これらによる増加が一時的なブームに終わらず、住人としての定着につながったことが今回の記録更新の背景にあるのだろう。
VRChatのように「VRゴーグルで没入しオンラインの三次元仮想空間でアバターの姿でコミュニケーションができるサービス」のことを「ソーシャルVR」と言い、先述の「Meta宣言」以降は「メタバース」としても注目されるようになった。「メタバース」は定義の定まった言葉ではないが、筆者の著書『メタバース進化論』(技術評論社)では「経済性」「没入性」など七要件を満たす、「人生を送ることのできるレベルの仮想空間」としている。
後述するアンケート調査によると、ソーシャルVRの住人の回答者901人のうち82%がVRChatを「最もよく利用するソーシャルVR」と回答していた。
各ソーシャルVRサービスは月間アクティブユーザー数(MAU)を公開していないため正確な数字は不明だが、最も利用されているVRChatの瞬間最大同時アクセス数が今回14.9万人であったことから、その数十倍と考えると、ソーシャルVR全体の世界人口は概ね数百万人から一千万人程度だろう。今月Metaがメタバース部門の1500人削減や傘下のVRゲーム会社の閉鎖を発表したことを受け、早くも一部メディアは「メタバースは終わった」と語っているが、実際の人口の増加からは真逆の堅調な成長が見えてくる。
一方で、Metaが運営するソーシャルVR「Horizon Worlds」を「最もよく利用する」と挙げたユーザーは国地域によらずほとんどいなかった。しかし、こうしてみるとソーシャルVRの人口自体は堅調に伸びているため、Metaの不振の一因は、VRゴーグルの普及が彼ら自身のソーシャルVRの人口増に繋がっていないことにあるのかもしれない。


