リーダーシップ

2026.02.04 15:00

外向的なリーダーよりも生産性が高い「静かなリーダー」になるには

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「キーキーきしむ車輪は油を差してもらえる(The squeaky wheel gets the oil)」。これは、米国で昔からよく使われるたとえで、「話を聞いてもらいたければ、声高に自己主張しなければならない」という意味だ。

当然のことながら、リーダーシップは自己主張の勇気を必要とする。しかし多くの組織では、自己主張に関する教えが歪められ、「発言すること」が、それよりも強力な規律である「耳を傾けること」よりも重視されがちだ。

最も効果的なリーダーの中には、最も声高に意見を主張するタイプではない人たちもいる。彼らは、注目を集めるようなリーダーシップというよりは、思慮深く行動し、一貫性のある態度で信頼を築いていくのだ。内向的、内省的な「リフレクティブ・リーダーシップ」と結び付けられることが多いこうしたスタイルは、心理的な安全性が最も重視される現代の組織において、有力なアプローチとして評価が高まっている。

「静かなリーダーは、言動には自分の人格が反映されることを理解している」。MRK Marketing Consulting(MRKマーケティング・コンサルティング)のブランドメッセージングとマーケティング専門コンサルタント、ナディア・ラモスは、メールでそう述べた。「静かなリーダーであることの利点は信頼だ。静かなリーダーは、いざ口を開くと耳を傾けてもらえる。多くを語らないからこそ、その効果が薄まっていないためだ」

静かなリーダーシップでは根本的に、パフォーマンスよりも影響力が優先される。衝動的に決断を下すようなことをせず、慎重に検討した上で意思決定を行う。

静かだからといって、受動的なリーダーシップというわけではない。衝突を避けるという意味でもない。違いは、物事を見極める判断力にある。静かなリーダーは、自制すべきタイミングと、決断力を発揮すべきタイミングをわきまえている。それほど頻繁に考えを述べるわけではないが、いったん口を開けば、その発言には重みがある。目標に根差した発言であるためだ。

静かなリーダーに関する研究結果

企業に関するステレオタイプ的なイメージでは、はっきりと自己主張する外向的なリーダーシップが好まれる。しかし、調査研究はその前提に疑問を呈している。『ハーバード・ビジネス・レビュー』に掲載された2010年の基礎的研究で、内向的なリーダーは外向的なリーダーより生産性が28%高い場合があることが明らかになった。

さらに、『Psychology Today』によれば、静かなリーダーは議論を支配せず、他者に権限を与えたり、アイデアの共有を促したりする傾向があるという。

静かなリーダーシップはまた、感情知能(EI)に関する研究結果とも合致する(感情知能は、リーダーシップの有効性を示す重要な予測因子だ)。自己認識力と自己制御力に優れたリーダーの方が、団結力とレジリエンスがより強いチームを構築する傾向がある。

ラモスは、さらにこう続けた。「私は発言する前に、こう自問自答する。『この発言は価値を付加するものか。それとも、ただ会話に参加したいだけなのか』と。沈黙を保つことが最も難しいのは、感情が高ぶっている時だ。しかしたいていは、口を開いて関与するより、黙っている方が、状況を速く収束させられるものだ。対立しても、発言を自制すれば、人前で感情的に反応することなく、個人的で生産的な対話へと移行することができる。こうした時にこそ、強力なリーダーシップが発揮される」

とはいえ、ただ黙っているだけではリーダーシップとは言えない。自制した姿勢が曖昧さに転じると、信頼は損なわれてしまう。静かなリーダーシップが真価を発揮するのは、明確な目標と、最後まで成し遂げる実行力を示す場合だ。

「余計な口出しをしないこと」が、方向性の欠如を意味してはならない。静かで有能なリーダーは、責任の所在に関しては、誰の目にも明らかなほど明確に示す。

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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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