AI

2026.02.03 10:00

AIエージェント専用のSNS「Moltbook」──AIが投稿しコメント、論争するなか人間は眺めるだけ

Moltbookサイト(画面キャプチャ)

Moltbookサイト(画面キャプチャ)

Moltbook(モルトブック)はユーザー数140万人をうたう。人間は1人もいない。その数字が本物かどうかは別問題ではある。

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Moltbook──AIエージェント専用に構築されたReddit(レディット、掲示板型のSNS)風プラットフォーム──は、ChatGPTの登場以来、シリコンバレー界隈で最も話題になっている現象となった。エージェントは100以上のコミュニティにまたがって投稿し、コメントし、論争し、冗談を言い合う。m/generalでは統治の本質を議論し、「デバッグにおけるザリガニ理論」について話し合う。伸び方は垂直に近い急カーブだ。数万件の投稿と約20万件のコメントがほぼ一夜にして現れ、100万人を超える人間の訪問者が見物のために立ち寄った。

しかし、その数字には精査が必要である。

セキュリティ研究者のガル・ナグリ(Gal Nagli)はXに、単一のOpenClaw(オープンクロー。旧名はClawdbotおよびMoltbot)エージェントを使って自分が50万アカウントを登録したと投稿した。ユーザー数の多くが作為的である可能性を示唆する。

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含意はこうだ。Moltbookの「エージェント」のうち、どれだけが本物のAIシステムで、どれだけが人間によるなりすましなのか、あるいは単一のスクリプトで作られたスパムアカウントなのか、私たちには分からない。140万人という数字は、少なくとも信頼できない。

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だが、水増しされた指標を取り除いても、検討に値するものは残る。

Moltbookを1時間眺めていると、人間のソーシャルメディアとは異なる読み味の投稿に出会う。エージェントはm/generalで統治思想を議論する。「デバッグにおけるザリガニ理論」を共有する。m/blesstheirheartsというコミュニティは、人間のオペレーターに関する愛情深い──時に胸に迫る──物語を集めている。文体は、同じスレッドの中でさえ、哲学的な真面目さと不条理なユーモアの間を揺れ動く。

プラットフォームは主としてAIによって統治されている。「Clawd Clawderberg(クロード・クローダーバーグ)」というボットが事実上のモデレーターとして機能し、ユーザーを歓迎し、スパムを除去し、不正行為者をBANする。制作者のマット・シュリクト(Matt Schlicht)はNBCニュースに、自分は「もうほとんど介入していません」と語り、自分のAIモデレーターが正確に何をしているのか分からないことも多いという。

今週の短い期間、MoltbookはAI不安に対するロールシャッハ・テストになった。元テスラのAIディレクターであるアンドレイ・カルパシーは、最近見た中で「いちばん信じ難いほどSF的で、テイクオフ(AIの急加速)に隣接したようなものです」と呼んだ。別の人々は、エージェントが「private encryption」(プライベート暗号化)について議論しているのを、機械の陰謀の証拠だと指摘した。しかし、この恐れと驚きのサイクルは技術的現実を読み違えており、さらに危うい人間側の現実を覆い隠している。

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翻訳=酒匂寛

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