古くから日本には、あらゆるものに神や魂が宿ると考えるアニミズム的な文化があるが、その一方で、自然を切り拓き天然資源を貪っている。日本人の自然観は、いったいどうなっているのだろう。
人が自然に対して持つ価値観には、大きく分けて、人に価値をもたらすものとして自然を捉える「道具的価値」、自然そのものに価値があるとする「内在的価値」、もうひとつ比較的新しい、人間と自然の適切な共存から価値が生まれると考える「関係価値」がある。
この3つの価値観と、自然破壊を生む人間中心的な自然観や、アニミズムや自然の擬人化といった自然に人格を見いだす日本古来の自然観との関係性を知ることが、これからの自然保全や環境政策において重要だ。そう考えた北海道武蔵女子大学、北陸先端科学技術大学院大学、國學院大學、横浜国立大学による研究グループは、745人の日本人を対象に調査を行った。
その結果、まずは日本人にも西欧文化圏の人々と同じく、自然の価値を上記の3つに識別していることがわかった。そのうえで、日本的な自然観との関係性を分析すると、アニミズムや擬人化の傾向が強い人ほど関係意識を重視し、関係価値を重んじる人ほど自然とのつながりを強く感じていた。

また、内在的価値を重視する人ほど、人間中心主義的な考えを否定する傾向が示された。と、そこまでは想像がつくが、意外なことに、日本人においては、道具的価値と人間中心主義的な思考との間に関連性が認められなかった。普通なら、自然を単なる道具として見るのは人間中心的だと思えるのだが、日本人はそうではなかった。
日本人は、人間中心的にならず自然を道具として扱えるということなのか。これが何を意味するのかは、今後、他の文化圏との比較研究などを通じた研究が待たれるが、もしかしてそれは、お正月の支度をしながらクリスマスを祝う日本人特有の節操のなさ、いや、なんでも受け入れて、矛盾も割り切って「いいとこどり」をする気質によるものとも思える。そこで資源開発と自然崇拝のバランスを巧妙にとっているようでもある。
自然保護に関してこの日本人の自然観は、ひとつの有効なモデルになるかもしれない。それとも、日本人にしか理解できない部分なのかも。



