北米

2026.02.02 09:30

トランプのドル安歓迎は「間違い」だ 強く信頼性ある通貨こそ国力の源泉だ

米100ドル紙幣(Shutterstock.com)

米100ドル紙幣(Shutterstock.com)

ドナルド・トランプ米大統領は米国時間1月28日、ドル安について「すばらしい」と述べた。だが、これは間違っている。ドル安の進行は、将来に問題が待ち構えていることを意味する。

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ドルの値動きからはまるで見えてこないだろうが、米国経済はかなり好調だ。世界比較で見ると、なおさらはっきりする。しかし、この前途明るい経済状況は、沈みゆくドルを支えなければ致命的な打撃を受けるだろう。ドルが揺らげば、その後に貨幣インフレが起こる。そして、それはトランプ大統領と共和党にとって政治的災難を意味する。インフレの定義そのものが通貨価値の下落だからだ。

ドル安はリチャード・ニクソン、ジミー・カーター、ジョージ・W・ブッシュの各政権を崩壊させた。物価上昇はジョー・バイデン政権を弱体化させた。

では、なぜトランプはドル安を歓迎するのだろうか。それは「自国通貨の価値が下がれば輸出コストが抑えられ、輸入コストは増大するため国内経済を刺激する」という誤った考えが、安直な解決策として根強く強力に人を引き付けているためだ。すなわち輸出が増えれば国内輸出業者の売り上げが増え、輸入品が高値になれば国内の買い手は代わりに国産品をもっと購入するようになって、経済はいっそう繫栄する、というのである。

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現実世界では、仮にそのような効果が生じたとしても、そんなものはすぐに消え失せてしまう。せいぜい、甘いものを食べたり飲んだりした後にちょっと気分が高揚するようなもので、あまりにも短命な現象でしかない。価格と購買パターンは再調整される。コストも同様だ。通貨の切り下げは結局のところ、消費者が気付かないまま支払う税金、いわゆる「隠れた税金」となる。

経済は苦境に陥る。通貨の価値が下がるということは、将来への信頼が失われ、成長も鈍化するということだ。ドルの切り下げは1970年代に恐ろしいインフレを招いた。同じことが2000年代初頭に起こり、2007~09年の世界金融危機へと発展した。

トランプは、2009年のブッシュの二の舞を演じたいのだろうか。2029年に大統領執務室からよろよろと出ていきたいのだろうか?

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翻訳・編集=荻原藤緒

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