北米

2026.02.02 09:30

トランプのドル安歓迎は「間違い」だ 強く信頼性ある通貨こそ国力の源泉だ

米100ドル紙幣(Shutterstock.com)

株式市場が活況を呈していても、惑わされてはいけない。ニクソンがドルと金の交換を停止した「ニクソン・ショック」の直後、株価は急騰した。経済は拡大した。けれども、その後すべてが崩壊し、不安定な弱気相場と数十年ぶり最悪の景気後退をもたらした。21世紀に入って最初の10年間にも、本質的には同じパターンが繰り返された。ドルの信用低下が少なからず影響した結果、バイデンから引き継いだ経済状況がどんなだったかをトランプは知っているはずだ。

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政治指導者、軍事戦略家、経済学者の大半が理解していないのは、信用の高い安定した通貨こそが国力の源泉であるということだ。強く信頼性のある通貨があったればこそ、オランダや英国のような小国がかつて世界に冠たる有力国家として栄えることができたのである。米国も、独立を果たしたばかりの頃は弱小国家にすぎなかったが、金・ドル本位制(ブレトン・ウッズ体制)によって世界経済の覇権を握った。

トランプはドル安を推進するのではなく、米ドルを絶対的な「通貨の王」とすることで、短期的にも長期的にも「強い米国」を実現できる。それはBRICS諸国、とりわけ中国とロシアが国際商取引でドルに取って代わろうとする野心を打ち砕くだろう。

そのためにはどうすればよいか? 連邦準備制度理事会(FRB)の惨憺たる政策運営を覆すことだ。FRBは経済の繁栄がインフレ要因になると信じ、成長抑制に傾いた金融政策を取っている。有害であり、ばかげている。

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驚くべきことに、FRBは金融政策の決定にあたり、ドルの価値や税制・規制が経済活動に及ぼす影響を度外視している。飛行機を飛ばすときに気象条件をないがしろにするようなものだ。金利設定を通じて経済を調整するよりも、ドルの安定こそがFRBの目標であるべきだ。金相場が示すとおり、巨額の債務とあまりにも低い経済成長率、通貨安が蔓延する世界の情勢はすでに危ういものとなっている。

トランプが指名する次期FRB議長は、信頼できるドルの必要性と、その実現方法を理解している人物でなければならない。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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