北米

2026.02.02 08:00

米国の輸出品目1位は「金」 2カ月連続は史上初

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金(ゴールド)は、2カ月連続で米国の最大の輸出品目となった。米国勢調査局によれば、これは少なくとも過去20年間で唯一の事例となる。入手可能な最新の数字である昨年10月と11月の統計から明らかになった。

金は一般に、政治経済の混乱期における「安全資産」と見なされているが、米国のドナルド・トランプ大統領が政権に復帰した昨年、大幅に値上がりした。価格上昇は昨年末以降さらに加速し、先月28日には金価格が1トロイオンス5589ドルという過去最高値を更新した。だが、本稿執筆時点では、金価格は4900ドル前後にまで下落している。

この価格急落の一因は、市場が安心材料と受け止めたニュースにあった。トランプ大統領は、ジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の後任としてケビン・ウォーシュ元FRB理事を指名すると表明している。ウォーシュ元理事は、外貨に対するドルの継続的な下落とインフレにつながる可能性のある大統領の利下げ要求に抵抗する姿勢が強いことから、一部で最も安全な候補者とみられている。

金価格が急騰した要因の1つは、昨年4月2日にトランプ大統領が「解放記念日」を宣言したことにあった。これにより、同大統領は世界中を予測不可能な貿易戦争に巻き込んだ。それ以降、関税は撤廃されたかと思うと引き上げられ、一時停止された後で再び導入され、今度は引き下げられるなど、先の見えない混沌とした状況が続いている。トランプ大統領は、米国が巨額の貿易赤字を計上している国や、ホワイトハウスをいら立たせる言動をした指導者がいる国を関税の標的としてきた。

世界経済の混乱は金の取引だけでなく、米国の貿易統計全体に表れている。今月公表される予定の昨年の年次統計では、メキシコがカナダに代わり、米国の輸出品の買い手として30年ぶりに首位に立つ見通しだ。同国は米国からの輸入額と貿易総額で、2年連続で1位を維持した。

一方、米国の対中貿易額は20年ぶりに貿易総額の10%を下回り、米中の分断が鮮明になっている。トランプ大統領が中国との貿易戦争を開始する前年の2017年の時点では、中国は米国の貿易総額の16.38%を占めていた。その割合は昨年11月には6.29%にまで縮小した。

長年、米国の輸入品の1位を占めていた原油や自動車に代わり、最近は人工知能(AI)に必要なサーバーなどの部品を含むコンピューター関連製品が金額ベースで最大の輸入品目として台頭している。こうした製品の主な供給国は台湾で、同国は米国の総輸入額の5.74%を占め、中国に迫る水準にまで拡大している。

金も昨春、混乱に巻き込まれた。現物金の需要を満たすため、金がスイスから米ニューヨークへ輸送され、米国の赤字を拡大させていたことから、トランプ大統領がスイスに高関税をかけると脅したのだ。その後、同大統領は直ちに態度を翻した。発言の時点で、金が既にスイスに戻り始めており、米国は同国に対して黒字を計上していることを示す統計が公開されたからだ。スイスは金の精製と保管を大量に行っている国だ。

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翻訳・編集=安藤清香

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