北米

2026.02.02 08:00

米国の輸出品目1位は「金」 2カ月連続は史上初

Shutterstock

金は米国と英国の間でも取引されている。英ロンドンはニューヨーク、東京と並ぶ世界3大市場の1つであり、24時間取引が可能だ。

advertisement

当初ニューヨークに空輸された金の一部は、金先物ではなく現物金への旺盛な需要を満たすため、スイスに再輸送された。ニューヨーク商品取引所はいわゆる「ペーパー取引」の大半を取り扱っており、現物の物理的な存在を必要としない。

さらに、ドル安と地政学的緊張の高まりにより、ドルが世界の基軸通貨であり続けることへの懸念が生じていることから、各国の中央銀行が金を買い増している。金の最大の買い手は、ポーランド、カザフスタン、ブラジル、アゼルバイジャン、トルコ、中国だ。

トランプ大統領が昨年4月2日に世界との貿易戦争を宣言する以前、1トロイオンス3000ドル未満だった金価格が1年も経たないうちに5500ドル以上に上昇したことは、決して良い知らせではなかった。こうした事柄に注意を払っていた人々は不安を抱くようになった。

advertisement

米国の金輸出額は昨年10月、167億2000万ドルに達し、月間総額としては過去最高を記録するとともに、米国の輸出品目の中で初めて首位に立った。トランプ大統領は9月、世界に対する貿易戦争の合法性を否定する判決を受け、米連邦最高裁判所に上訴した。最高裁は、関税の適用が大統領の権限内であったかどうかを判断するため、同大統領の「迅速審査」請求を認めた。最高裁は現在も手続きを進めている。

米国の金輸出額は11月には124億5000万ドルに減少したが、これは過去2番目に高い記録であり、国内最大の輸出品としての地位を維持するのに十分な額だった。1年前のトランプ大統領の再選前後の時期である2024年10月、米国の金輸出額は27億1000万ドルで、翌月は20億1000万ドルだった。実際、過去20年間で金輸出額が最大だった10カ月のうち7カ月が昨年に集中している。

不確実な情勢が続く中、金価格は急騰を続けているため、昨年12月の統計も金が再び米国の輸出品目の首位に立つであろうことはほぼ間違いない。だが、1年を通して金が首位を維持し続けることはないだろう。恐らく1位は航空機で、ガソリンなどの石油製品、そして原油が続くだろう。金価格の急落が先月の最終取引日である30日まで発生しなかったことを考慮すると、金は1月も輸出品目の1位だった可能性がある。しかし、そこから先の予想は難しい。

金の輸出額が1位という短期間の栄光はほぼ確実に色あせるだろうが、それを押し上げた要因は消えないかもしれない。トランプ大統領が政権に復帰して最初の1年間は、世界との貿易戦争が再開と中断を繰り返す混乱の連続で、投資家や中央銀行を不安に陥れた。昨年10月と11月の金価格の上昇は、政策が予測不可能になると、世界の基軸通貨でさえ安全な避難先というよりリスクヘッジの対象に見えかねないことを改めて示すこととなった。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事