しかし、その歩みを止める壁も存在する。イノベーション活動を阻害する要因として、約4割の企業が「能力のある従業員の不足」を挙げた。資金やアイデア以上に、変革を主導し実行できる「人材」の確保こそが、最大のボトルネックとなっている。また、企業規模による格差も大きく、大企業の実施割合が47.8%と半数近いのに対し、小規模企業では26.3%と大きな開きが見られる。リソースの限られた中小・小規模企業にとって、いかにして変革の第一歩を踏み出すかが喫緊の課題だ。

一方で、将来に対する企業の姿勢は決して消極的ではない。今後の活動意向については、半数近い企業がイノベーションに「力を入れたい」と回答している。業種や規模を問わず、現状維持のままでは生き残れないという強い危機感が、企業の背中を押している。

AIの活用や業務プロセスの根本的な見直しなど、アプローチは多岐にわたるが、共通して言えるのは「待ったなし」であるということだ。人材不足という構造的な課題を抱えながらも、いかにして組織をイノベーティブに変貌させ、新たな価値を創造できるか。その成否が、これからの数年における企業の命運を分けるかもしれない。
出典:帝国データバンク「イノベーション活動に対する企業の意識調査(2025年)」より


