人工知能(AI)は猛烈なスピードで労働市場を作り替えており、データ入力から顧客サービス、さらにはクリエイティブな仕事に至るまで、さまざまな作業を自動化している。懸念は広がっている。ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の新たな調査によれば、労働者の52%が職場におけるAIの影響を心配しており、約3分の1(32%)は、長期的には自分にとって仕事の機会が減ると考えている。しかし、こうした懸念が妥当である一方で、AIに代替されにくい一部の職業は、自動化の及ぶ範囲から隔てられたままである。
人間の専門性が代替不能な「AI耐性の高い」職業20選
レジュメ・ナウ(Resume Now)が新たに公表した「AI耐性キャリア指数」(AI-Resistant Careers Index)は、米労働省のO*NETデータベース(職業情報ネットワーク)と、ペイスケール(Payscale、給与情報サービス)の給与情報に基づき、自動化に置き換えられにくい高収入の職業20種を特定した。この指数は、(1)適応力、(2)ストレス耐性、(3)自制心という3つの重要な人間的スキルを測定する。3項目すべてでスコアが74以上で、かつ年収中央値が少なくとも7万4000ドル(約1147万円。1ドル=155円換算)の職種のみが選出された。
ここから浮かび上がるのは、人間の専門性が依然として代替不能である領域の、明確な姿だ。
1. 麻酔看護師(Nurse Anesthetists)
AI耐性指数93.3、年収中央値19万5263ドル(約3027万円)で、麻酔看護師は自動化の影響を最も受けにくい職業の首位に立つ。これらの専門看護師は麻酔を実施し、手術中の患者を監視する。患者が予期せぬ反応を示した際の瞬時の意思決定、処置中の絶え間ない警戒、合併症が起きても落ち着いて対処する力が求められる。AIはバイタルサインの監視を支援できるが、患者の状態が急変したときに必要となる繊細な判断を置き換えることはできない。
2. 救急医(Emergency Physicians)
救急医は、重大で時間との勝負となる状況で患者を診断し、治療する。AI耐性指数は92.3、年収中央値は30万2047ドル(約4682万円)である。これらの医師は、さまざまな状態の複数患者を迅速に評価し、不完全な情報の下で生死に関わる決断を下し、混沌とした環境でも冷静さを保つ必要がある。AIは診断の支援に役立ち得るが、救急医療に必要な直感と適応力を再現することはできない。
3. 裁判官(Judges)
裁判官は法廷手続きを主導し、事件について拘束力のある判断を下す。この職業には、複雑な証拠を比較衡量し、微妙な法的主張を解釈し、世間の注目を浴びる中で絶対的な感情統制を保つ力が求められる。AIは法務リサーチを支援し得るが、司法判断に必要な知恵と公正さは、依然として人間に固有のものである。これがAI耐性指数91.3、年収中央値11万5325ドル(約1788万円)につながっている。
4. 一般外科医(General Surgeons)
年収中央値33万9027ドル(約5255万円)の一般外科医は、外傷、疾患、変形を治療するための手術を行う。処置中に予期せぬ合併症が起きても対応し、極度のプレッシャーの下でも手を安定させて明晰に考え、患者の生存に直結する重要な判断を下す必要がある。ロボット手術ツールは精度を高め得るが、外科医の専門性と判断力は置き換えられない。こうしたスキルがAI耐性指数91.3に寄与している。
5. 民間パイロット(Commercial Pilots)
民間パイロット(AI耐性指数:91.0、年収中央値:10万1876ドル[約1579万円]、ここではチャーター・貨物機等のパイロットを指す)は航空機を運航し、乗客の安全を確保する。この役割には、機械故障、気象の緊急事態などの想定外に直面しても冷静さを保ち、迅速に意思決定する力が求められる。自動操縦システムは定常的な飛行を担うが、想定外を管理するうえで人間のパイロットは不可欠のままである。
6. 医師助手(Physician Assistants)
医師助手(米国の資格。医師の監督下で診察・診断・治療計画の立案を行う医療専門職)は医師の監督の下で、患者の診察、疾患の診断、治療計画の作成を行う。年収中央値は11万2942ドル(約1751万円))である。多様な患者ニーズに合わせて対応を変え、家族を伴う感情的に緊迫した場面に対処し、難しい知らせを伝える際も平静さを保つ必要がある。AIの診断ツールは業務を支援できるが、医師助手が示す共感や臨床判断を置き換えることはできない。これらの資質はAI耐性指数90.0に反映されている。



