スマートフォンの普及により、写真や連絡先、金融情報、各種契約が一台の端末に集約される時代。便利になったと同時に、もし持ち主が亡くなった場合、そのスマートフォンが「開かずの金庫」となり、遺族を困らせるケースが増えている。
ライフエンディングのトータルサポートを行う LDT株式会社は、葬儀や相続を経験した30~60代の男女35名を対象に、「家族のスマホ・デジタル遺品と死後手続き」に関する実態アンケートを実施した。そこから見えてきたのは「親のスマホが開けない」という難解な事態だった。
親のスマホが開かず困難な目に
調査によると、遺族の20%が故人のスマートフォンのロックを解除できず、「業者に依頼したが無理だった」と中身の確認を断念していた。セキュリティ強化が進む中、家族であってもロック解除は容易ではない。
その結果、写真や連絡先を取り出せなかったり、交友関係が分からず訃報を伝えられなかったりするなど、精神的な心残りにつながるケースもあったという。
見えない資産と、止まらない課金
スマートフォンが開けないことで影響を受けるのは、思い出だけではない。通帳を持たないネット銀行やネット証券の口座は、存在自体に気づけないリスクがある。また、動画配信サービスやアプリなどのサブスクリプション課金が、死後も続いて引き落とされていた事例も確認された。
調査では、ネット銀行の特定に数カ月を要した例や、解約方法が分からずクレジットカード自体を止めることで対応した例など、実務面での負担も多く見られた。
自由記述では遺族の具体的な体験が寄せられている。
「母が亡くなってからも、ガラケーを解約するまで不審なメールが何度か入ってきていたのでブロックだけは絶えずしていました(50代 女性)」
「父は几帳面でしたが、スマホの中身までは整理していませんでした。結局、PayPayの残高もネット株もどうなっているか分からず、全て放棄しました(40代 女性)」
「パスワードを書いたメモが見つかった時は、宝の地図を見つけた気分でした。あれが無ければ相続手続きは終わらなかったと思います(60代 男性)」
「デジタル遺品は『無いもの』として諦めるのが一番の解決策だと悟りました(50代 男性)」
「スマホを先に解約するとキャリアメールでのぱすわーどリセットや2段階承認が出来なくなる。なんとか問い合わせを続けて解約までに2ヶ月かかった(30代 男性)」
「死後1年近く経過してからルーターのリース契約の未払いの請求書が届いた(40代 女性)」
「スマホの解約は後でいいと思って後回しにしていたら、再度役所に亡くなったことを証明する書類を取りに行くことになった(50代 女性)」



