──M&Aはどちらからもちかけたのか。
宮城:ファンドの運営が軌道に乗り、次の展開を議論するのは自然な流れでした。きっかけは24年のシリーズD調達直後にみずほの経営陣から声をかけられたことです。しっかりしたアセットはあるが常にスピーディに動けるわけではない会社と、スピーディに課題解決を進めるがアセットは足りない会社が組めば、面白いことができるのではないかと。
最初は戸惑いました。しかしいただいたメールを何度も読み直すうちに、AI市場を席巻しているマイクロソフトとOpenAIの関係が思い浮かび、面白いのではと思うように。大企業のリソースを投入することで、スタートアップのモメンタムを大きくしていく。当初はみずほが15〜20%程度の株式を取得して資本提携を強化するという話でした。
木原:ただ、マイノリティ出資では、結局お互いに様子見になってしまいます。楽天証券との戦略的な資本業務提携を通じて学んだのですが、出資比率が20%のときと49%では協働の仕方が全然違いました。過半数に近づくことで、双方が「一緒にやるしかない」という覚悟が生まれる。今回も、やるなら一気に踏み込むべきだと考えました。
宮城:成功確率を最も高めたかったのです。メガバンクとスタートアップが一体となって中小企業金融を変えるという挑戦は、前例がありません。中途半端な資本関係では、意思決定に時間がかかり、優先順位も曖昧になる。シンプルな資本構成にして、みずほのなかで明確にコミットしてもらうかたちを選びました。
木原:M&Aで最も大事なのは、いくらで株を取得するかではなく、カルチャーが合うかです。特に出資比率が高いときは、カルチャーが合わなければシナジーは生まれません。デットファンドの協業を通じて「一緒にやれる」という感覚をもてたことが大きかった。
一方で、100%取得したいとは思っていませんでした。100%にしてしまうと、スタートアップの良さを殺してしまう可能性がある。むしろアジャイルなやり方を取り込んで、自分たちの組織も変えていきたいと考えていました。


