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2026.02.09 13:30

みずほ木原とUPSIDER宮城 M&Aで描く金融と中小企業の未来

木原正裕|みずほフィナンシャルグループ取締役兼執行役社長 グループCEO(写真左)・宮城 徹|UPSIDER代表取締役(同右)

木原正裕|みずほフィナンシャルグループ取締役兼執行役社長 グループCEO(写真左)・宮城 徹|UPSIDER代表取締役(同右)

金融とスタートアップの両産業に衝撃を与えた注目のM&A。両者が目指すのは、従来の「金融」の枠ではとらえきれない新たな体験価値の提供だ。


2025年7月、みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほ)傘下のみずほ銀行は、AIを活用した法人向け金融サービスを展開するUPSIDERホールディングス(以下、UPSIDER)の株式70%を約460億円で取得すると発表した。累計600億円以上の資金調達を実施し、25年4月には年間の売り上げ規模が100億円を突破するなど、フィンテックの雄として順調な成長を見せていたUPSIDER。それから間もないメガバンクによる大型M&Aは、金融、スタートアップの両産業に大きな衝撃を与えた。

──今回のM&Aに至った経緯は。 

木原正裕(以下、木原)日本の国際競争力は主要国の中で30位台に低迷しています。この国力をもう一度引き上げるには、労働人口の9割を占める中小企業をどう盛り上げていくかが鍵になります。

みずほは大企業と中堅企業向けの金融サービスには強みがありましたが、中小企業については審査に時間がかかり、裾野が広がっていなかった。そこで出合ったのがUPSIDERです。AI活用の与信モデルで、従来の審査プロセスを大幅に効率化できる。これは我々にはない技術でした。

23年11月、両社はスタートアップ向け融資を目的としたデットファンド「UPSIDER BLUE DREAM Fund」を共同で設立しました。ここで手応えを感じ、25年5月には地銀など国内金融機関7社も参画した143億円規模の2号ファンドへと拡大しています。こうした協業を重ねるなかで、さらに踏み込んだ連携ができないかと考えていったのが経緯です。

宮城 徹(以下、宮城)私たちが見ていたのは、中小企業が直面する構造的な課題。経理や資金調達を担う人材は高齢化が進み、登録税理士の半数超が60歳以上という統計もあります。このままだと10年後にどうなるか。担い手がいなくなってから慌てても手遅れです。

幸いにも、今ビジネスシーンにはAIの波が来ています。従来の人手では審査しきれなかった層にも、AIなら与信を届けられる可能性がある。ただ、この課題はあまりに大きい。ひとつのスタートアップでは到底間に合わないという意識がありました。

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文=加藤智朗 写真=平岩 享

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