ビルとメリンダは、2021年の離婚後も数年間にわたり財団を共同で運営していたが、メリンダは2024年5月に辞任を発表した。彼女は当時、LinkedInへの投稿で、ビルが「女性と家族のための自身の活動資金」として125億ドル(約1兆9100億円)を拠出することに同意したと記している。
その時点で、メリンダはすでに自身の慈善活動の基盤を築いていた。彼女は2015年にピボタルと呼ばれる統括組織を設立し、2022年にはその私設財団部門を立ち上げ、2023年にはモメンタム、オポチュニティーズ、パスウェイズという3つの小規模財団を創設した(これらの小規模財団は、当初はローズフィンチ、グリーンフィンチ、スノーフィンチという鳥の名称を用いていたが、2024年に名称変更された)。5つ目の財団であるファイアフィンチは、現時点では寄付を受け取ったとの報告がない。
これら5つの財団の使命の違いは明確ではないが、いずれもピボタルの一部であり、同団体は公式サイトで「米国および世界各地における女性と若者の社会的進歩の加速に取り組んでいる」と説明している。
ピボタル財団は2024年に4億8700万ドル(約746億円)を拠出し、2025年には世界各地の80を超える女性の健康関連団体を支援する2億5000万ドル(約383億円)規模のプロジェクトなど、複数の注目すべき取り組みを発表した。一方、上記の小規模財団はいずれも、2024年の税務申告書時点では慈善支出を行っていなかった。
ピボタルのエコシステムには、政治活動やロビー活動が制限されない米国の社会福祉団体「501(c)(4)」のピボタル・イニシアティブズ・ファンドも含まれる。さらに、ピボタル・ベンチャーズLLCという非公開の投資会社も存在する。
2024年には元妻の慈善活動に多額の資金を拠出した影響もあってか、ビルは同年、ゲイツ財団への寄付を大幅に減らし、財団本体およびその資金を拠出する慈善信託に対して合わせて1億470万ドル(約160億円)を寄付するにとどまった。それでも、7月31日時点で同信託を通じた基金の残高は860億ドル(約13兆1700億円)に達しており、2045年に予定されている活動終了までに、なお十分な資金を拠出できる状況にある。


