——EUのGaia-Xや日本のデジタル庁など、米中依存からの脱却を目指す試みは各国で進められている。欧州や日本が「デジタル主権」を本格的に確立できる可能性はあるか?
それとも「依存しつつ規制する」という戦略が今後も現実的な選択肢であり続けるのだろうか?
欧州や日本が、米国や中国と同じモデルを再現するのはきわめて難しい。Meta、Amazon、Google、Microsoftの四社は、AIとデータセンターに年間3000億ドル以上を投じている。一方、EUのInvestAI構想は、数年かけて2000億ユーロを動員する計画だが、資金は27の加盟国と数百の企業に分散しており、規模で太刀打ちできない。日本は欧州ほど分散の問題を抱えてはいないが、それでもビッグテックとの正面からの投資競争で勝つのは困難だろう。
「依存しつつ規制する」戦略にも限界が見え始めている。巨大テック企業に規制を受け入れさせるには、十分な市場規模が必要不可欠となるからだ。Metaはオーストラリアやカナダに対し、規制を受け入れるくらいならサービスを提供しないという脅しともとれる駆け引きをしている。OpenAIも、米国で提供しているAIエージェントサービスについて、規制の変更がない限り欧州では導入しない方針を示している。経済規模が相対的に低下するほど、依存しつつ規制する国家モデルは成立しにくくなる。さらに今年に入ってから、ホワイトハウスは「米国企業を不当に標的にしている」として他国に規制緩和を強く求める姿勢を強めている。
そこで私が提案しているのは、「弱点を埋める産業政策」から「強みを伸ばす産業政策」への転換である。この提言は欧州に向けて提案したものだが、日本ではいっそう上手く働く可能性がある。現在の欧州は、半導体や生成AI、デジタルプラットフォームなど、他国がすでに先行している分野で、少しでも自分達の弱点を埋めるために投資を行っている。発想としては、こうした分野でグローバルリーダーにはなれずとも、せめて外国への依存度を下げようというものだ。しかしそこには問題がある。たとえその戦略が成功したとしても、結局は「追随者」でしかなく、決してリーダーにはなれない。一歩遅れてついていく立場から抜け出せない。


