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2026.02.14 11:30

日本のDXの遅れはもう取り戻せない? 生成AIの「ガチな使い方」

楢﨑浩一|SOMPOホールディングス 執行役専務 事業開発最高責任者(写真左)・大原克之|パランティア・テクノロジーズ・ジャパン CEO(同右)

楢﨑浩一|SOMPOホールディングス 執行役専務 事業開発最高責任者(写真左)・大原克之|パランティア・テクノロジーズ・ジャパン CEO(同右)

IT人材の増強、古い企業文化の変革はもう「必要なし」。生成AIは、遅れすぎた日本に「リープフロッグ」をもたらす。


スイスの国際経営開発研究所(IMD)が2025年11月に発表した「世界デジタル競争力ランキング2025」によると、日本は69カ国・地域の中で30位。先進国でもデジタル化の遅れが際立っている。 

「今は日本のDXの遅れを取り戻す、最初で最後のチャンスなのです。その鍵を握るのが生成AIです」

シリコンバレーで複数のICT関連企業の経営に携わってきた楢崎浩一・SOMPOホールディングス(以下、SOMPO)執行役専務は、危機感を込めてこう語る。SOMPOは19年、米データ解析大手のパランティア・テクノロジーズ(以下、パランティア)と、合弁会社パランティア・テクノロジーズ・ジャパン(以下、PTJ)を設立した。SOMPOはなぜパランティアと手を組んだのか。この選択は日本の巻き返しのヒントとなるのか。楢崎とPTJの大原克之CEO、パランティア幹部のケビン・カワサキに聞いた。

パランティアは軍や情報機関など米政府向けに、AIを使ったデータ解析プラットフォームを提供する企業として知られるが、近年は民間企業向けのサービスが急成長している。25年11月に発表された同年7-9月期決算では、米民間企業向けの売上高が前年同期比121%増と、米政府向け(同52%増)を上回る大幅増収となった。

一方、損害保険大手として顧客データを蓄積してきたSOMPOは課題を抱えていた。「整理されていない膨大なデータがあちこちに眠っている状態で、活用されていなかったのです」と楢崎は振り返る。データの統合・解析のソリューションを求め、楢崎がシリコンバレーのつてをたどって行き着いたのが、パランティアだった。

18年秋、SOMPOの桜田謙悟CEO(当時)とパランティアのアレックス・カープCEOとの面談が、パロアルトのパランティア本社で行われた。桜田はカープの「国防」だけではない社会課題解決への姿勢に強く共感し「(合弁の話を)ぜひ進めてくれ」と楢崎に指示したという。
 
パランティアが民間向けに提供するのは、「ファウンドリー」と呼ばれるプラットフォームだ。大規模な組織ほど、膨大なデータが複数のデータベースでバラバラに保管されており、必要なときに必要なデータにアクセスするのが難しく、潜在的な価値を引き出すことができない。ファウンドリーは、こうしたデータセットを1カ所に統合し、用途に合わせて使いやすいように加工したり、意味づけして分類したりできる。

PTJの初代CEOに就いた楢崎は、損保ジャパンの火災保険の契約業務にファウンドリーを導入することにした火災保険の保険料は建物の面積や構造所在地、地理的な特徴などさまざまな情報をもとに算出される。こうした散らばった情報をファウンドリーで統合・解析することで、保険料算出の担当者が、欲しい情報に効率的にアクセスできるようになった。23年度には対20年度比で96億円の収支改善を達成した。

また、コロナ禍では神奈川県の事業に参画。急増するコロナの患者や医療機関の情報をファウンドリーを使って統合することで、治療対象者の抽出や療養証明書の迅速な発行を実現した。24年1月に発生した能登半島地震では石川県を支援。着の身着のままで避難所にやってきた被災者の氏名や住所、持病、被災状況、家族構成などのデータを一元管理し、適切なサポートにつなげた。「実際に使ってみて、ファウンドリーが社会課題そのものを解決する強力なツールであることを実感しました」。

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文=中居広起 写真=吉澤健太

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